【呪術廻戦】雨を乞う。⑤【男主】 (ページ32)

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傑も今日は任務があるようで、教室を出ていこうとする。

『ああ、待って、傑。』

俺も同行する、と言えば、悟も硝子も怪訝そうに眉を寄せた。
傑は驚いたように目を見開く。

「何故？」

おそらく、そこまで等級が高い任務ではないのだろうが、着いて行った方が良い気がした。
油断はしない。
ずっと付きまとえば流石に気づかれてしまうだろうけど、少しでも様子を伺いたかった。

『なんでも。』

不可解な行動だから、きっと三人とも、帰ってきた理由に直結すると感じ取っているだろう。
誤魔化した返答も、あいまって。

傑を一人で任務に行かせるのは、得策ではない気がしていた。
二度に一度、三度に一度の頻度で、どうにか着いていきたい。

俺も戻ってきたことが知れているから、そのうち任務が回ってくるだろうが、フリーのうちは。

「…聞いても、答えてはくれなそうだね。」

『ご名答。』

仕方ない、と頷くのを確認して、俺も準備をして呪具を入れたギターバッグを背負う。

悟は何かを考えるような所作を取りつつこちらを見ていた。
そろそろ、帰ってきた理由が”傑”にあることくらいは気づかれそうだな、と思いつつ。

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任務はあっさり終わった。
強いて言うなら、傑が取り込むより前に俺が祓ったけど。

勿論、それについて文句は言われたが、

『無理はしないこと。』

と心配を表に出して苦笑すれば、傑も昨日のやりとりを思い出したのか仄かに苦笑した。

確かに、傑は呪霊を取り込めば取り込むほど強くなる。
けれど、どうしても、絶対に取り込まなければいけないわけではないし。

そこまで強くもない、雑魚呪霊を無理してまで飲む必要はないだろうという判断だった。

今は強さより、精神を大切にして欲しい。
オマエが回復するまで、俺が全部祓ってやるから、なんて冗談半分に笑うと、

「…着いてきたのはそのためか。」

と言われて、頷く。

教室に戻る前に、自販機に寄って缶コーヒーを二つ買って。
一つを手渡し、二人で並んで腰かける。

『オマエはどうしたいの？』

術師、辞めたい？

問えば、傑は悩むように俯いた後に、辞めたとして、自分が知らない間に仲間が死ぬのは嫌だ、と言った。
それだけで、なんとなくその逡巡を理解する。