【HQ】専属パシリ【宮兄弟】 (ページ6)

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6パシリ。ページ6

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侑喉乾いたからジュース買っといて

ちょうど玄関から外に出ようとした時、携帯が震えて侑くんからの指令を受け取る。

私が今から学校に行く時間より、侑くんが体育館から自販機に走る時間の方が圧倒的に短いはずなんだけどな。

私の家から稲荷崎高校はかなり近いが、それでも自転車で10分はかかる。

途中にコンビニあるからそこで買っていけばいいか、いや、冷たくないと侑くん怒りそうだな、なんて考えながら家を出た。

『侑くん、おはよう』

「ん、」

もはや私の挨拶など無視して、片手のひらだけ私に向ける彼にムッとする。

『おはよう、侑くん』

「なんやねん」

言い直してみても怪訝そうに顔をしかめるだけの侑くんに恐怖が勝ってしまい、素直にさっき買ったばかりのオレンジジュースを差し出した。

「だからなんでオレンジジュースやねん、炭酸飲みたかってんけど」

『ごめん、何買えばいいか分かんないから次欲しいのあるなら商品名も連絡してよ』

侑くんが差し出したお金を受け取りながら文句を言った。

「そこは察せや、ほんま使えへんな」

相変わらずトゲが凄いんだこの人は。平気で人の心に刺さる言葉を吐くその姿に、純真な嫌悪感ではなく、少し憧れを持ってしまう自分が居るのが悔しい。

「今日も購買な、惣菜パンやで？ええな？」

『授業終わんなかったら無理だからね？』

「そこは終わらせろや」

『無茶言わないで』

侑くんは、私の言葉を聞き終わる前にヒラヒラと手を振って教室に入っていった。

幸い、その日の四限は通常より五分短縮されて終了した。侑くんに怒られないで済むな、とホッとして購買へ向かおうと立ち上がる。

「待って、俺も行く」そう立ち上がったのは治だった。

『珍しいね、今日弁当じゃないの？』

「弁当やで？でも昨日のアレ、メロンパン美味かってん」

そう言って財布を取り出し、彼は私の横に立った。侑くんより大きいお弁当箱を持ち歩きながら足りないなんて、胃袋が馬鹿なんじゃないかと思ってしまう。

『そう、じゃあ行こっか』

購買は、いつもの列が信じられないほどに空いていて、選び放題といった感じだった。

これはこれで困るのだ。また余計なものを買っていくと、彼にセンスがないと叱られてしまう。

『ねえ、侑くんって何が好きなの？』

「知るか」

突き放すような治の言葉に若干の侑くん味を感じたので、それ以上は追求しなかった。否、できなかった。