【HQ】専属パシリ【宮兄弟】 (ページ5)

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5パシリ。ページ5

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「こんなんで緊張してんの、ダサいで」

宮侑の言葉がグルグルと頭を周り、息が苦しくなる。さっきまで考えていた当たり障りのない自己紹介も、もう思い出せなくなっていた。

『…ぁ、え、っと』

言葉に詰まる私を何十もの目が見つめていて辛くなる。他よりいっそう鋭く私を見ていた目が一度閉じられる。

ガタンっと音がした。それは宮侑が立ち上がった音だった。

座高はそんなに変わらないのに、立ち上がった彼の顔は見上げないと見えなくて、スタイル良いんだな、なんて思った。

「広瀬A。ほら、趣味は？」

宮侑が私に噛み付くように聞くので、萎縮してしまう。

『え、えっと、手芸…かな』

「ほな特技も手芸や!! 針と糸使わんでも出来る事は致しませんやな？以上!!」

朝と同じように、宮侑はドカッと大きな音を立てて座った。

彼が私を助けてくれたんだと理解する頃には自己紹介も最後の一人となっていた。

『あ、あの、宮くんだよね？さっきはありがとう』

オリエンテーションが終わり、初めての休み時間が訪れた時に彼の背をつついて礼を言った。

「ジュース」

『え？』

「え？やないがな。感謝してんねやったらジュース買うて来てや」

さも当然、という様子で言い放つ宮くんの姿に自分がおかしいのだろうかという気にすらなってしまう。

『あ、うん。いいけど、何がいい？』

「せやなぁ、オレンジジュースの気分」

『分かった』

宮くんの言葉に頷き、すぐに立ち上がる。宮くんはギョッとして私の腕を掴んだ。

「は？！今買いに行くん？」

『え、今オレンジジュースの気分なんじゃないの？』

「いや、後で昼休みとかでええし。別に俺ずっとオレンジジュースの気分やから」

『そう？分かった』

私が席に座った後も、彼は私をしばらくジッと見つめていた。そしていきなりニコやかな、どこか意地の悪い笑顔を浮かべると私の机に手を置いて言った。

「よし、契約や!!」

『え？』

「困った時は俺が助けたる!! せやからオマエ、俺の言う事聞け!! ええな？」

その言葉に間髪入れず頷いてしまったのは、彼の語尾が有無を言わせない圧を含んでいたからか、はたまた初めて見た彼の笑顔に見惚れたからかなのかは分からない。

とにかく分かるのは、その日私は《宮侑専属パシリ》になったという事だ。