【HQ】専属パシリ【宮兄弟】 (ページ4)

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4パシリ。ページ4

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4月、親の仕事の都合で高校進学とともに関西に引っ越してきた私は、新生活への不安を抱えていた。

絶対中学が同じ子達で固まってグループになるだろうし、初っ端ぼっち確定だな。

そんなことを思いながら、教室に張り出された座席表を見て自分の机を探す。

ようやく見つけて座ってみれば、もう既に新しい生活環境に順応している子がチラホラ見えて辛くなる。

そんな気持ちを誤魔化すように机に顔を伏せると、頭上から声がした。

「広瀬 A??」

その声に顔を上げた瞬間、目の前に現れた金髪に思わず萎縮する。

絶対ヤンキーって奴だ、なんか私気に触ることしたかな。

『そうですけど、なんで私の名前？』

平静を装って言葉を紡げば、ヤンキーは机の隅っこに貼られた四角い紙を指でつついた。

《出席番号 29 宮侑》

机に貼られた紙にそう書いてあるのを確認した瞬間、勢いよく立ち上がる。

私とした事が席を間違えるなんて、恥ずかしくてヤンキーの顔も見れず、ひとつ後ろの自分の席に逃げるように座った。

ヤンキーはそんな私を冷めた目で見ると、私が先程まで座っていた席にドカッと腰を下ろした。

うわ、怖。気にしなくていいよ、とか言ってくれないんだ。関西怖い、東京恋しい。

もはや泣きそうになって、東京にいる友人の顔を一人一人思い浮かべた。

高校に入って一番最初の授業はオリエンテーションで、内容はもちろん自己紹介だった。

流れるように自己紹介をしていくみんなを見て、こんなんで名前が覚えられる訳ないのに、する意味あるのかな、なんて考える。

とうとう順番が近づき、金髪ヤンキーが立ち上がる。

「宮侑。特技バレーボール、趣味バレーボール。セッターじゃなくても出来ることは致しません。よろしく」

「いやどこの女医やねん」

先生のツッコミにドカッと教室中に笑いが起こる。当たり障りない自己紹介で行こうと思ってたのに、この後に自己紹介をしなきゃいけないハードルの高さに涙が出そうだ。

「はい次」と言って先生が私を見た。ゆっくり席を立つと、教室中の視線が私を襲った。金髪ヤンキー、もとい、宮侑も振り返って私を見た。

『えっと、その……』

「宮がボケたからって緊張せんでええでー!!」

詰まる私を見て先生は助け舟を出した。

その言葉にまた、教室のそこかしろでクスクスと笑い声がした。

「こんなんで緊張してんの、ダサいで」

宮侑が静かにそう呟くのが嫌に耳に刺さった。