【HQ】専属パシリ【宮兄弟】 (ページ3)

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3パシリ。ページ3

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5限目終了のチャイムが鳴ってから、そろそろ5分経つ。

一向に来る気配のない侑くんをこれ以上待つ気にもなれず、席を立った。

「ポンコツっちゅうか、クズなんちゃう？アイツ」

『かもね』

治の言葉に相づちを打って、2組まで歩く。目立つ金髪はすぐに見つかったが、一定のリズムで揺れているその身体は、彼が睡眠中であることを示していた。

『銀島くん、侑くん起こしてくれない？』

「えぇ、絶対イヤや!!」

彼があまりにも大袈裟に首を振るものだから、それ以上無理に頼み込むことはせず、侑くんの席の前に立った。

不幸なことに、私の教科書は完全に侑くんの身体によって潰されている。これではササッと持ち逃げする事なんて不可能だ。

『侑くん、侑くん起きて』

言葉だけでは反応無し。ならば次は身体を揺すってみる。

「んん、ん」

彼は迷惑そうに唸る。しかしまだ起きる気配がないので困ってしまう。どうしたものかと腕を組んでいると私の後ろから手が伸びてきて、侑くんの頭を誰かが引っぱたいた。

「イダ!! 誰やねんシバくぞ!!」

「おいポンコツ、教科書返せや」

そう言って後ろから肩を組んで来たのは治だった。まあアレだけの力で侑くんを叩けるのも彼しか居ないだろうとは思っていたが。

「あ、忘れてた。すまんすまん」

侑くんはそう言って私に教科書を手渡す。

「落書きしといたったで」なんて無邪気に笑う彼。

呆れた視線を向ければ「なんやねん」と頭をはたかれた。

『治、ありがとね』

「おん、そんなら俺にもジュース買うて来てや」

『無理』

即答で返事をした私に治は笑った。

治のツボがよく分からず頭上にハテナが浮かぶが、そもそも双子を理解しようというのは東大に受かるより難しい(と、角名が言っていた)のであまり気にかけないことにした。

「別に断れへんって訳でもないねんや」

『今の、侑くんから言われてたら断ってないよ』

「なんなんそれ、ツム専属パシリってこと？」

『まあ、そういうことかも』

「俺にもパシられてや」なんて冗談混じりに言う彼に無視を決め込んで席に座り、昔の事を考えた。

《ツム専属パシリ》もとい、《宮侑専属パシリ》になったのは、そう、ここ稲荷崎高校に入りたての頃だった。