【HQ】専属パシリ【宮兄弟】 (ページ2)

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2パシリ。ページ2

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「なんで抵抗せえへんの？」

昼休みが終わりに近づき、教室に戻ってきた治が私に聞いた。

結局、弁当で満腹になり食べる事の出来なかった潰れたメロンパンを彼は指でつつく。

「あーあ、もったいな」

『食べていいよ、ソレ』

治はその顔に満面の笑みを浮かべると、潰れたメロンパンを口いっぱいに頬張った。

「美味っ!!潰れてもメロンパンは美味いな!!」

『良かったじゃん』

「そんでなんで抵抗せえへんの？」治は再度私に聞いた。

『怖いもん、侑くん』

「怖ないやん」

『それは治が兄弟だからでしょ？怖いよ、侑くん』

私の言葉に、治は納得できないと唸った。彼によって半分が既に齧られた潰れたメロンパンをちらりと見る。

「分からんなぁ、怖いなら近寄らんとけばええやん」

『目、付けられてるから』

治はメロンパンを全て口に詰め込むと、ゴクリと大きく飲み込んだ。

「ホンマに嫌やったら言えよ？俺から言ったるから」

『うん』

返事をしつつも治に嫌だとは言わなかった。彼はそれに気付いて呆れたように私をジトッと見た。そんな彼の視線から逃れるように机に顔を伏せる。

「サム!!」

突然教室に大きな声が鳴り響き、反射で顔を上げる。治をサムと呼ぶ人なんてこの学校には一人しかいない。

「数学の教科書忘れた!!貸せ!!」

「無理、6限までの課題出来てへんし」

「それはお前が悪いやろ!!」

「教科書忘れたんはお前が悪いやん」

治の言葉にぐうの音も出ない様子で侑くんは黙り込んだ。そして、そのままクルリと身体を私の方に向ける。

「おい、寝たフリすんな」

『別にそんなつもりじゃないし』

「ふーん、数学の教科書貸して!!」

「アカン」

私が返事をする前に治が口を挟んだ。侑くんはまたイライラして治の方を見る。

「サムお前は黙っとけ。コイツに聞いてんねん」

「もうお前のパシリやりたないって言うてたで」

『え』

「は？パシリ？」侑くんは目を丸くした。

「俺がいつコイツをパシってん」

さすがに驚いた。まさか自覚が無かったなんて。治も驚きを隠せない様子で侑くんを見ていた。

「そんな事はどうでもええ!! はよ貸せ!!」

『6限目までに返してね』

机の引き出しの中で、しっかりと探し当てておいた数学の教科書を引き抜いて侑くんに渡す。

彼は満足気に笑って、私の頭をポンポン撫でた。

「ほんまに人格ポンコツやな」

侑くんが出ていったドアを見つめながら治がポツリと呟いた。