花*ぺちゃんこ ページ2
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花なんか特別好きじゃなかった。
今日は記念日だって言うのに、
ぺーさんはいつもと変わらずどころか朝から出掛けてしまって私は1人寂しくご飯を食べる
「記念日、忘れてるんだろうなあ」
パリパリとサラダを食べる音だけが返事をくれる。
寂しくなんかないもの
もういい大人ですから？
カレンダーにこれ見よがしに花丸を書いたりしませんから？
お箸からつるつる逃げ回るトマトを捕まえてぱくり
赤々としたトマトはたっぷりのお日様を浴びて育ったんだろう
甘酸っぱい味がして少しだけ涙が出た。
「ぅ、…っ、ぺーさんの、ばか…」
「ちょっと、誰がバカだって？」
突然聞こえたぺーさんの声に驚いてトマトが変な所へ、むせ返る。
「ぺ、ぺーさん！いつ帰ってきたの！」
「今。声掛けたんだけど、気付かなかった？」
「全く…」
落ち込み過ぎててそれどころじゃなかったです、正直。
「あ、あー…。あのさ」
「ん、なあに？あっ、そう言えばぺーさん、朝ご飯も食べずに出掛けちゃったからお腹空いてない？すぐ用意するよ？」
「いや、A」
キッチンへ行こうとした私の袖を引いて止めたぺーさん
少しだけ耳が赤い。
「これ」
かさりと出てきたのは色とりどりの花。
「ぺーさん、これ、」
「A、カレンダーに書いてたでしょ。
記念日の…いらなかったら捨てて…」
「いる！…ありがとう、ぺーさん！」
慣れない事をしたぺーさんはやっぱり耳が赤くて
それが愛しくて愛しくて抱きついた
優しく受け止めてくれるぺーさん。
不器用だけどちゃんと気が回るこの男に、
やっぱりちょっとだけ負けた気がして脇腹を突いてやった。
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作者名：あさひ | 作成日時：2019年11月26日 0時
