▽苦いや ページ41
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5日後、私は優花ちゃんの病室を訪ねた。
そこには、誰もいなかった。
2日、ズレたね。
優花ちゃん、自分が死ぬってわかってたのかな。
苦しかったかな、寂しかったかな、
家族に見守られてたのかな。
残っているのは、白いシーツだけ。
他には、何も、ない。
まるで、初めからいなかったみたいに。
私が死んでも、きっと。
こんな感じなんだ。
時が経てば、存在を消される。
なんて、残酷なの。
優花ちゃん。
あの世でも元気に笑ってて。
みんなとおしゃべりしてて。
また、会おうね。
なんて。
喉が渇いたから、売店で何か買う事にした。
店員のおばさんが、クッキーをオマケしてくれた。
いつの日か行った、カフェを思い出したからカフェオレを買ってみた。
でも、やっぱり違った。
『苦いや……全然甘くない…』
優花ちゃんとあのカフェに行ってみたかった。
女子トークをして盛り上がりたかった。
みんなとあのカフェに行ってみたかった。
どんちゃん騒ぎをしたかった。
また、みんなに会いたい。
マネやりたい。
あーあ、どうして今思い出したの。
ばか、病院を飛び出したくなるじゃん。
それから少しして、病室に戻った。
そこには、烏野排球部のみんながいた。
…なんで?
みんなは心配そうにベットを見つめていた。
ああ、そういえば澤村さんと目が合ったっけな、なんて呑気な私。
『…久しぶり、なのかな。』
空気に溶ける、私の声。
__苦いや__
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簡単酢 - もし自分がそうだったらと、考えて泣きました。良ければですが続きが見たいです。 (11月4日 20時) (レス) @page50 id: f9e5903924 (このIDを非表示/違反報告)
maple - すっごく泣いてしまいました。ありがとうございました。 (2022年9月25日 0時) (レス) @page50 id: de8a9753cf (このIDを非表示/違反報告)
オサム - 改めて、今まで通りの日常が大切で幸せなんだって気づけました。この小説に巡り会えてよかったです。 (2022年8月17日 21時) (レス) @page23 id: fa30df2261 (このIDを非表示/違反報告)
蒼華 - 不平等な人生だけが平等に配られる (2021年1月8日 16時) (レス) id: 6ceb7dac77 (このIDを非表示/違反報告)
@穂実(プロフ) - 泣きました。感動作をありがとうございます。 (2020年10月15日 16時) (レス) id: 596dab791f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:浅葱。 | 作成日時:2017年5月28日 16時