君と僕。 〜僕らとあの子〜 part3

８ろく　＊昨日あったこと＊ ページ15

風邪をひいた千鶴を旅館に残し、ワタシ達は映画村へと向かう。

映画村はその名の通り映画を撮る場所である。
江戸時代の町並みが広がっており、時代劇や特撮などの撮影が行われている。
その中に一般公開されているところがあり、そこでワタシ達はいろいろと体験することができるのだ。
ただし、着物や袴といった衣装の貸出や駕籠屋の体験などは、予約が必要だったり、有料だったりするので事前に調査とお財布との相談はちゃんとしましょう。

過去に何度か来たことがあるので、中の地図は脳内にインプットされている。
撮影所の方にも入ったことがある。
アシスタントとして呼ばれたお父さんの付き添いでだ。
斬られる役だったけど。
なかなか見ごたえのあるものだった。

あ『さて、詳しく聞かせてもらおうじゃないの。』

と、思い出に浸ってる場合じゃない。
今はこっちのが大事。

あ『昨日、ワタシを置いてどこに行ってたんですかー？ちゃんと答えてね？それまでこのラーメンはお預けだから。』

４人の前に置かれるラーメンをスッと自分の方に寄せる。
見た目ただの食いしん坊だけど、この際しょうがない。

悠太「A、話すから。そんな子供みたいなことしないの。」

祐希「そうそう。ラーメン伸びるから返して。」

あ『うわ、なんかムカつく・・・で、何してたの？』

４人にラーメンを返して、自分のを写メりながら聞く。
事情聴取しながら千鶴にラーメンの写真でも送ってやろう。
いやがらせで。

春「昨日、お風呂の後にちょっと探索に出かけまして。その時に舞子さんの舞台を観に行ったんです。すごくキレイだったんですよ。」

要「その後、がっつり説教くらったけどな。」

悠太「反省するべきなんだろうけど、オレとしてはいい体験できてよかったかなって。怒られてでも観る価値はあったよね。」

祐希「うん。ま、その後千鶴が川に落ちてさ。今現在、風邪ひいてる。」

春「千鶴くん、濡れたまま寝ちゃったんですよね・・・ちゃんと拭くように言ったんですけど、疲れちゃったみたいで。」

要「自業自得だろ。まあ、今日一日反省しろってことだ。」

春「それを言うならボクたちもじゃ・・・」

要「元凶だからな。ま、おかげでいいもん観れたけどな。」

あ『・・・そっか。』

４人ともズルズルとラーメンを啜りながら話してくれた。
お腹も満たされたせいか、話してくれたからか、怒りが収まってきた。
措いていかれたのは寂しかったけど、まあそういう時もあるよね。

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