未定 (ページ28)

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聖夜〔佐野side〕ページ28

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12月24日、高校生の俺は今日から冬休み。

雪が降ってきそうな寒さの中を20分くらい歩いて、やっとAの家に着いた頃にはすっかり日は沈んでいた。

正門くん、誠也くん、小島くんの3人はラジオで、リチャくんと大晴くんはそれぞれ別の仕事。

Aは家で勉強してるらしい。

呼び鈴を鳴らすとすぐに扉が開いた。

「晶哉！？どうしたん？」

出てきたAはラフな部屋着に眼鏡をかけて、おまけに前髪はちょんまげにしていた。

俺のアポなし訪問に驚いてはいたけど、迷惑ではなさそうで少し安心した。

佐「勉強の邪魔になるかなと思ってんけど、せっかくクリスマスやからこれ」

そう言って手に提げていたものを渡す。

「これは、、ケーキ？」

箱から目を離して俺を見上げるAの顔はキラキラしてて、喜んでくれてるのが十分に伝わってきた。

佐「一緒に食べようと思って買ってきた」

「ありがとう、めっちゃ嬉しい」

そう言ってAは柔らかく笑った。

俺は、この大げさすぎない笑顔が好きや。

今日だけは俺がAの笑顔を独り占め出来ると思うと、個人仕事が無いのも悪くないなと思ってしまう。

佐「そのちょんまげ似合ってるやん笑」

「あっ、取るの忘れてた、、」

佐「いいやん可愛いで」

「それはどうもー笑」

ほんまに可愛いと思ってんねんけどなぁ。

たまに、俺にも照れた顔を見せて欲しくてこんなふうに褒めてみるけど、Aはサラッと流してしまう。

誠也くんとか大晴くんに言われたら照れるくせに。

部屋の中に入ると、相変わらず家具は必要最低限のみで、机の上だけが大量の参考書で埋められていた。

「せっかく来てくれたし晩御飯も食べていったら？デリバリーやけど」

佐「いや、勉強の邪魔になるやろ？ケーキ食べたらすぐ帰るよ」

「もう今日の分は終わってん。それにケーキは晩御飯の後にデザートで食べたいねんけど、あかん？」

Aは、あくまでも自分の我儘かのように言って、俺が気を遣わずにここに居れるようにしてくれる。

佐「じゃあ、そうさせてもらうわ」

俺がそう言うと、満足そうな顔でうんと頷いた。

今日は俺がAを独占させてもらうけど、怒らんといてくださいね。

心の中でライバル達に謝って、Aの肩に触れるほど近くに腰を下ろした。

近いって言われても今日は絶対離れへんからな。