未定 (ページ21)

今日:69 hit、昨日:61 hit、合計:64,433 hit

嫉妬〔小島side〕ページ21

・
・
・
・
まいジャニ収録からの帰り、俺の隣にはいつものようにAがいた。

いつも通り、仕事のことからしょうもない事まで、色んなことを話しながらの帰り道やった。

でも俺の気持ちはいつもと違って穏やかじゃなくて、小さな違和感を胸に抱いていた。

「─────って聞いてる？こじけん？」

小「あぁ、ごめん。ぼーっとしてた」

「なんか機嫌悪い？それか落ち込んでる？」

小「いや、なんもない。で、話の続きなんやっけ笑」

俺は咄嗟に誤魔化して、いつもの調子で話を戻した。

「いや、絶対なんかあるやろ？いつもより目が合わへんもん」

完璧に誤魔化せた思ったのに、Aにはそんな事までお見通しやったとは。

小「大丈夫、なんもないから気にすんな」

「どんな悩みでもちゃんと聞くから、言いたくなったら言ってな？」

そう言いながら俺の顔を覗き込んでくるもんやから、嫌でも目が合ってしまう。

この目に見つめられるとなんでも話してしまいたくなるから、合わせたくなかったのに。

小「、、、めっちゃしょうもない事やけど、笑うなよ？」

「分かった」

Aは真剣な顔で答えた。

小「お前が憧れの先輩大晴やって言うから、なんかちょっと、羨ましいなって思ってただけ、、、」

「だけ？」

Aはポカンとした顔で聞き返してくる。

小「ほんまにそれだけ」

俺がそう答えると、Aは小さく笑った。

小「あ、おい！笑うの禁止やぞ」

「分かってる、ごめん笑でもこじけんが可愛くて」

こいつ、自分がいつもどれだけ可愛いか知らんくせに。

小「知ってるか？俺一応年上やで？」

「はいはい笑分かってるって、ごめんやん笑」

そう言って、Aはいたずらっ子みたいな笑みを浮かべ、またすぐに真剣な表情に戻った。

「あれさ、憧れの先輩やったから大晴くんって書いたけど、同期やったら迷わずこじけんって書いてたよ」

言いながらAは、まっすぐに俺の方を見た。

「だって入所してから今までずっと、自分が1人にならへんように一緒におってくれたやろ？事務所の人から怒られても他のJrの子達と同じように接してくれたし。だから、ほんまに感謝してるし、尊敬してる」

ほんまに単純な男やって自分でも思うけど、Aにそう言われるだけで、大晴への小さな嫉妬はすっかり消えていた。

俺の心を乱すのも、穏やかにするのも、やっぱりAだけなんやって痛いほど思い知らされて悔しかった。