第7話 ページ7
・
・
・
・
本格的にコンクールに向けての練習が始まってもう2週間ぐらいがたった。
放課後、音楽室に入ると涼介先輩が先に来ていた。
屋上でたまたま会ったあの日から、侑李先輩と涼介先輩は、昼休みになると屋上に来て私と一緒にお弁当を食べてくれる。
入部したばっかりの頃に思っていた涼介先輩の印象とはだいぶ変わったと思う。
最初は、ただただ口が悪くて怖い先輩だと思っていたけど、本当は優しいところもあって、いい先輩だと思っている。
まぁあんまり話したりはしないんだけど。
目が合ったから軽く頭を下げて挨拶をして、いつも通り必要な楽器を隣の準備室から運んでくる。
1番手前にあったマリンバに手をかけ、音楽室へと通じる扉まで引っ張っていく。
にしても重たいなぁ。
マリンバは私たちが扱う楽器の中でもかなり大きくて重たい方だ。
「じゃあ代わろっか?」
慌てて後ろを振り返ると、涼介先輩が立っていた。
「あっ、全然、このくらい大丈夫です!」
「でも重いんだろ」
「えっ、なんで心の声が聞こえて…」
「ダダ漏れだわ、ばーか。」
そう言って先輩は私に代わってマリンバを運んで行ってしまった。
こういう所が優しいと思う。
別の楽器も涼介先輩と一緒に運び出して、最後に全員分の譜面台を取りに行った。
譜面台は棚の1番上にある。
「取れるかなぁ〜」
私はかなり小柄な方だ
めいいっぱい背伸びをして腕を伸ばす。
何とか積まれている下の方の譜面台に手が届いた。
と思ったら、バランスを崩して譜面台を引っ張ってしまった。
上から譜面台が2、3個すべり落ちてくる。
私はとっさに目をつむった。
ガタンガシャガシャン
………あれ?痛くない!?
おそるおそる目を開けると……
私の横には涼介先輩がいた。
48人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kurodaamane(プロフ) - おおおおおお面白い😍🧡(●'◡'●)あなたの心にもみあげ手裏剣 (2022年3月29日 2時) (レス) @page16 id: 2adfc9a228 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あさとわ | 作成日時:2020年4月15日 23時