第6話 ページ6
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吹部に入ってから1週間がたったある日のお昼休み、私はいつものように屋上で1人、お弁当を食べていた。
1人で食べるお弁当にはもう慣れっこだ。
すると突然屋上の扉が開いた。
普段なら誰も来ないのに、誰だろう?
そう思いながら扉の方を振り返った。
「あっ!Aちゃんだ!」
「侑李先輩!?」
そこにはう嬉しそうにこちらを見ている侑李先輩と、怪訝そうな顔をした涼介先輩が立っていた。
「あれ?Aちゃん1人?」
「はい……」
「お友達は?」
侑李先輩が尋ねると、
「ばか!そういうこと聞くなって……」
珍しく涼介先輩が私を気遣うようなことを言った。すると侑李先輩は慌てて
「あっ、ごめん!」
と謝った。
「いや、いいんです。あんまり気にしてないん
で……」
私がそう言うと、
「じゃあ一緒に食べる。ねっ、涼介?」
と言って私の前に座った。
涼介先輩も、渋々侑李先輩の隣に座る。
その優しさがあまりにも嬉しくて、つい涙が出そうになる。
「……ありがとうございます」
そう言って私は2人の先輩に笑顔を向ける。
心のどこかでは、ずっと寂しかった。
「さっ、食べよ!」
侑李先輩が私の笑顔に答えるように満面の笑みを浮かべる。
隣に座る涼介先輩も、温かい目で私達を見ていた。
「…はいっ、食べます!」
優しい先輩に出会えてよかった。
そう心から思えた1日だった。
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kurodaamane(プロフ) - おおおおおお面白い😍🧡(●'◡'●)あなたの心にもみあげ手裏剣 (2022年3月29日 2時) (レス) @page16 id: 2adfc9a228 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさとわ | 作成日時:2020年4月15日 23時