第18話 ページ18
・
・
・
・
大きなイルカたちが飼育員さんの指示に従って泳ぎ回ったり、飛び跳ねたり、客席に向かってパタパタと手を振ったりしている。
私の視線は愛嬌たっぷりのイルカたちにすっかり釘付けになっていた。
この子ら、可愛すぎんか??
うちで飼えるなら連れて帰りたい、、
「いやそれは無理だろ笑」
「えっ!?どうしてそれ、、」
驚いて隣を見ると、珍しく声をあげて笑っている涼介先輩。
「侑李知ってた?神谷の独り言バカでけえの」
「そうなの?笑」
「いや、今のは心の声だったはずなんですけど、、」
「あはは、それはもっとダメだろ、ダダ漏れじゃん」
どこがツボにハマったのか、涼介先輩は侑李先輩も驚くほど笑い続けた。
「ちょっと、そんな笑わないでくださいよ、恥ずかしいじゃないですか!」
私は恥ずかしさのあまり、自分でもわかるくらいに頬が熱くなった。
「Aちゃん、すごいね。」
「いや、ほんとに、穴があったら入りたいです、、」
「そうじゃなくて、涼介が─────」
侑李先輩が何か言いかけていた、会場の盛り上がる声にかき消されてしまった。
『それでは最後にイルカたちに自慢の大ジャンプを披露してもらいましょう!』
合図と共に2匹のイルカが水中から空中に向かって飛び出す。
そして、大きな水しぶきをあげ再び水中へ─────
ってこれ5列目もあぶなくない!?
ザッバァーーン
目をつぶった瞬間、前に音楽準備室で涼介先輩に助けて貰ったことを思い出した。
デジャブだな、なんて思ったけど、その時と違ったのはグイッと腕を引かれ、すぐ近くに誰かの体温を感じたこと。
目を開けてゆっくり体を離すと、体温の正体は───
「侑李先輩!?」
「─────大丈夫?濡れてない?」
「私は先輩のおかげで、、でも先輩が、、、」
「そっか、良かった」
そう言って侑李先輩は私を安心させるように笑った。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ザバァーーン
これ、ずぶ濡れになんじゃね?
思ったときにはもう体が動いていた。それなのに、知念は俺より早く動いてた。
つかみ損ねた神谷の腕が、あの日間に合わなかったあいつの手と重なった。
ふっと我にかえり、俺がしようとしたことが2人にバレていないことを願いながら濡れた髪をかきあげた。
さっきまで俺の心を満たしていた楽しさや幸せは、一瞬にして消え、代わりに後悔だけが俺の中に残った。
「最悪、、、」
続く (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←第17話
48人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kurodaamane(プロフ) - おおおおおお面白い😍🧡(●'◡'●)あなたの心にもみあげ手裏剣 (2022年3月29日 2時) (レス) @page16 id: 2adfc9a228 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あさとわ | 作成日時:2020年4月15日 23時