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「おはよう、兄さん」
「お、起きたかソクジナ。ご飯作るの手伝ってくれない?」
「うん、いいよ」
今日は兄さんが久々に帰省していた。
母さん想いな所があって、帰ってくると大抵兄さんが料理を作ってくれていた。
「その人参、切って鍋入れてくれる?」
「はーい」
兄さんに言われた通り、人参の皮を剥いて切り始める。
見た感じスープに入れるみたいだから、薄い短冊切りでかな。
リズム良く切っていると、パジャマのポケットに入れて置いたスマホが突然鳴り響いた。
兄さんはアラームだと思ったみたいだけど、この音はアラームじゃなくて着信音だ。
まだ朝の6時代なのに、こんな時間に電話なんていったい誰が……と思いながらスマホを取り出すと、画面にはユリの名前が映し出されていた。
こんな早い時間に、ユリから電話?
嫌な予感がして、僕はすぐに電話に出た。
「もしもし、ユリ?」
『ごめん、こんな朝早くに電話して、』
「ううん、大丈夫だよ。それよりどうしたの?」
『ごみ捨てに行こうと思って、家出ようとしたんだよ』
「うん」
『そしたら、家の前に知らない男がいて……』
「え」
電話から聞こえる声が少しだけ震えているように聞こえた。
知らない男って、もしかしなくてもストーカーだ。
今までずっと隠れていたのに、急に現れるなんて。
早く行かないと、ユリの身が危険だ。
「ユリ、すぐ行くから。絶対家から出ないで」
『わ、わかった』
ユリとの電話を一旦切って、僕は直ぐに自分の部屋に戻って服を着替えた。
「ごめん、兄さん。僕行かないと」
「おいおい、急にどうしたんだよ」
「ユリの家にストーカーが来てる」
「え!?ユリって、この前看病にし来てくれてた子か!?」
「そう。早く行かないと」
「待て待て!!行く前に警察呼んだ方がいいだろ!!」
「前に警察に頼んだけど相手してくれなかったって。だから僕が行かないと」
兄さんと話している時間も惜しくて、すぐに玄関に走っていった。
「ちょっとソクジナ落ち着け!!どうやって家まで行くつもりだ!?ユリさんの家近いのか!?」
「あ……」
「はあ……。ったく、待ってろ。父さんから車の鍵借りてくるから」
ユリの声を聞いて、僕も冷静じゃなかったらしい。
兄さんがすぐに父さんの所に行って、車の鍵を借りに行ってくれた。
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作者名：萩焼 | 作成日時：2022年10月2日 21時
