【JN】俺がWWHの公式彼女になるまで【男主】 (ページ45)

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「はあっ、はぁっ……良かった、ここにいた」
「!! ジナ……」

図書館に向かう途中、気がつけば走っていて、図書館内に入ったあともなるべく早歩きでユリの事を探した。

ユリは勉強する時は2階の1番右端の窓側の席に座り、本を読む時は3階の通路の端に設置してあるソファに座る。
2階のいつもの席に姿がなかったから、3階のソファに向かうと予想通りユリが座っていた。
ユリは驚いたように一瞬声をあげたが、図書館である事を気にして、すぐに小声で「どうしてここが分かったんだ?」と聞いてきた。

「知らなかった?僕、ユリのことならなんでも分かるんだよ」
「ははっ、何言ってんだよ」

クスッと笑ったユリの表情を見て、あ、よかった。笑ってくれたと心の底から安心した。

ハジュン教授から話を聞いたあと、思い返してみればここ数日、ユリは元気がなかった。
僕からゲームを借りて連日寝不足になってるせいだと思っていたが、たぶんゲームを借りていたのは寝るのが怖かったからだろう。

1度目じゃなく、2度目のストーカー。
1度目はつけられただけですんだけど、2回目は?
そう考えたら僕だって怖くて堪らなくなる。

「教授から話聞いたよ。今日から僕が送っていくから」
「駄目だ」
「どうして?」
「自分だけならまだしも、ジナにも何かあったらって考えたら心配なんだよ」

また暗くなった顔のユリを見て、僕は苦しくなると同時に、僕のことを心配してくれる言葉を聞いて純粋に嬉しかった。
でも、自分だけならなんて、そんな風に考えて欲しくない。

「ユリが僕のことを心配してくれてる以上に、僕はユリのことが心配だよ。ユリに何かあったらって考えたら、僕もう一睡もできない」
「大袈裟だな」
「大袈裟じゃないよ。本当にそう思ってる」
「ジナ……」

ユリは苦笑いをしていたけど、僕は本気だった。
ユリの目を見ながら真っ直ぐにそう伝えたら、冗談で言ってるんじゃないと伝わったらしい。
でも、なんて言えばいいのか言葉が見つからなかったのか、それからユリは黙り込んでしまった。

「寝れなくなったら授業中寝て、成績落ちたらユリのせいにするよ」
「ええ……?俺のせいなの?」
「そうだよ。僕の成績が落ちたら、どう責任取ってくれるの?」
「それは……」
「取れないでしょ?だから、僕と一緒に帰ろう」

そう言って、僕はユリに自分の手を差し出した。
差し出した手に視線をやったあと、ユリはしばらく考え込んだようだったがおずおずとした様子で僕の手を取ってくれた。