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「さっきも少し話したけど、ユリの奴、いまストーカー被害にあってるみたいなんだよね」
「ストーカー……」
「実は今回が初めてじゃないんだ。前にも帰り道に後をつけられたりとかして、その時に僕が家に送ったりとかしてね」
それが今も流れているハジュン教授とユリの噂の発端だったらしい。
確かに教授と生徒が同じ車で帰っている場面をみたら、変な風に考える人もいるかもしれない。
しかもそれがユリとなれば、余計注目されるだろう。
でも、そんな事よりも僕の中ではユリがストーカー被害にあっていることの方が驚きだし、余っ程重要だった。
「今は普通に暮らしてるってことは、ストーカー被害はなくなったってことですか?」
「俺が送るようになって、1ヶ月くらいしたら視線を感じる事がなくなったからって、それからは普通に生活してたみたい」
「じゃあ、犯人は捕まってないんですね」
「そうだね。一応警察にも相談したらしいけど、女装やめたらいいんじゃないかって言われたみたいで。それともっと実害的なことが起きないと取り扱えないと」
「それは……」
ユリの女装は本当に完璧で、100人がいれば100人が絶対可愛いと答えるような見た目だ。
それが原因でストーカーにあってるなら、やめろと言うのは普通の考えだろう。
でも、ユリにとって女装はそんな簡単にやめられるようなものじゃないのは、僕には分かっている。
詳しい理由は知らないけど、高校の時に見たあの熱心な勉強の仕方を見てれば分かった。
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作者名:萩焼 | 作成日時:2022年10月2日 21時