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「ちょっとあっため過ぎたかも……」
「大丈夫。僕熱いの平気だから」
「火傷したら大変だろ。ちょっと待って」
そういうと、ユリはレンゲに1口分のお粥を掬うと、ふーふーと息を吹きかけた。
え、ちょっと待って?僕、今ユリにふーふーされてる?恋愛ドラマとか漫画でよく見るようなシチュエーションじゃない?
もしかしてこのあと食べさせてくれたり……なんて、さすがに高望みしすぎだよね、ハハ、なんて考えていたら、口元にレンゲを差し出された。
…………え?本当に!?
「………………」
「あ……、ご、ごめん。自分で食べれるよな」
あまりの嬉しすぎる出来事に脳みそが追いついていなくて、無言でユリのことを見つめていたら、ユリがハッとした表情をしたあと、見る見るうちに顔を赤くした。
恥ずかしそうに慌ててレンゲを鍋にレンゲを置こうとしたが、僕はすかさずその手を掴んで、自分の口の方に持っていった。
そのままパクリと1口食べてみるとダシが聞いていて、ほんの僅かに梅の味がして、塩気も強すぎず、すごく上品な味だった。
「ユリ、このお粥すごく美味しい」
「腹減ってるから余計そう感じるんだよ」
「そんなことないよ。母さんの作ったお粥より美味しいよ」
「大袈裟だな」
素直に感想をいえば、ユリは僕から視線を逸らしながら少し照れたように笑っていた。
その表情が本当に可愛くて、さっきの真っ赤な顔も相まって、胸がぎゅっとなった。
このまま全部食べさせてもらいたかったけど、さすがに申し訳ないから二口目からは自分で食べることにした。
「それより、急に来てごめんな。お前の友達に頼まれて、代わりに見舞い行ってくれって頼まれて。あ、講義のプリントとかノートも預かったから、机の上置いておいた」
「そうだったんだね。ごめんね、わざわざ来てくれて」
「謝るなよ。元はと言えば俺のせいでジナが体調崩したわけなんだし……」
「違うよ。僕がユリのこと送りたかったから送っただけだし、ユリは気にしないで」
確かに僕が体調を崩したのは、あの雨の日が原因だろうけど、ユリを送りたかったのも自分の意思だし、泊まろうかと誘ってくれたのに断ったのも自分の意思だ。
だからユリが気にすることじゃない。
でも、ユリはそうもいかないようで「でも……」と、話を続けようとしたから、僕はそういえばと話題を変えた。
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作者名：萩焼 | 作成日時：2022年10月2日 21時
