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外に出れば室内にいた時より大きな雨音がして、とてもじゃないがすぐに止む気配はなかった。
ジナが傘をさして、こっちと手招きをしてきたが、本当にいいのだろうかと躊躇って、中々その場を動けない。
「もう、気にしなくていいって言ったでしょ。僕達…友達、なんだから」
「じ、ジナ……」
友達と言われて、俺は目を見開いた。
中学でいじめられる前は、確かに忘れ物をしたら貸してもらったりしていた。
そっか。友達って助け合える関係なんだと思い出した。
友達と言われて、俺はようやくジナの隣に移動して一緒の傘に入った。
俺がちゃんと濡れてないことを確認して、ジナは歩き始めた。
俺の身長が低いから、傘はジナがもってくれている。
入れてもらってるのだからせめて傘ぐらいは俺が持ちたかったが、俺が持つとジナは腰を曲げて歩くことになってしまう。
「ジナって身長いくつなの?」
「えっと……健康診断で測った時は179cmだったかな」
「ひゃくななじゅうきゅう」
講義室で座ってる時は少し視線を上に向けるくらいで、ジナの身長を意識することは少なかったが、隣で並んで歩いてる時は随分見上げないと顔が見れないので、具体的にどれくらい身長があるのか気になっていた。
俺が160cmだから、19cmも差があるってことになる。
そりゃ見上げないと顔見れないよなあ……。
「はあ……。5センチでいいから分けて欲しい……」
「どうして?今の身長嫌なの?」
「女子の平均身長しかない俺の気持ちがお前にわかるわけが無い」
「僕はそのままでいいと思うけど……」
「俺にはチビがお似合いだって言いたいんだな」
「そ、そういうことじゃないよ!!だって今のままの方がかわい……じゃなくて、えっと、」
ジナが慌てた様子で必死に言い分を考えている様子を見つめる。
何か言いかけた様だが、雨音が強くてよく聞き取れなかった。
「冗談だよ。お前がそういうこと言うやつじゃないって分かってるから」
「ほ、本当に?」
「こんな雨降ってる中、わざわざ送ってくれてるやつが悪い奴なわけないだろ」
そう言うと、ジナは安心したような表情を浮かべて、もう、からかわないでよと俺の腕を肘で少しだけ小突いた。
そんなやり取りが、なんだか本当に友達みたいで嬉しかった。
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作者名：萩焼 | 作成日時：2022年10月2日 21時
