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「いつから頼まれるようになったの?」
「ミスコンの後だったかな?急に知らない子から、今日好きな人に告白するからメイクして貰えませんかって頼まれたんだよね」

当時かなり話題で浮いた存在だったユリに、声を掛けようとした人は誰1人いなかったらしい。
そんな中、声をかけるのも勇気がいるだろうに、今日告白をすると聞いて無碍にできなかったとユリは言った。

「数日後にその子がわざわざ俺のところ来てくれてさ。告白成功したって報告してくれて、俺のおかげだってすごい喜んでくれたんだよね。それが思いのほか嬉しくて、人にメイクするの好きになったんだよ」

ユリはメイクは自己満足でやってるもので、人を喜ばすことができるものだと考えたことがなかったらしい。
この大学を選んだのも、自分のメイクの技術を上げるために入ったようだった。
そんなユリが、自分のためだけじゃなくて、人の為に何かしたいという夢を持ったきっかけになったと。

「おかげでメイクアップアーティストになりたいって夢もできたし、頼まれたら練習にもなるから、断らないようにしてる」
「すごい素敵だね。ユリのそういう所、僕本当に尊敬してる」
「え?なんだよ急に」

突然僕が褒めたからか、ユリは少し照れたように顔を赤くして笑っていた。
どんな時でも努力を惜しまない姿勢は、昔からかわってないんだって分かって、改めて好きだなあって思った。

「そ、それよりなんかあっちの方暗くない?」

ユリは恥ずかしくなったのか、わざとらしく窓の方を指さした。
ユリの言う通り、遠くの方に黒い雲が立ち込めていて、今にも雨が降りそうな雰囲気だった。

「今日、天気が不安定だから雨降るかもって天気予報でやってたよ」
「うわ、まじか。傘もってきてねえわ……」
「大丈夫?僕の貸そうか?」
「お前この講義終わったら帰るだろ?俺は次のコマもあるし。降ってきたら購買で傘買うからさ」

学年が違う弊害と言っていいのか、僕とユリは取ってるコマ数が違う。
同じ学年で同じ学科だったら、ユリと全く同じ講義を取って毎日一緒に帰れたのに、なんて夢みたいなことを考えてしまった。

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作者名:萩焼 | 作成日時:2022年10月2日 21時

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