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「なんだ?やるのか?殴れるなら殴ってみろよ!!このモヤシ野郎!!」
「この………!!」
「っ、やめろ!!ソクジナ!!」
まさに売り言葉に買い言葉。
男の煽りでついにソクジン君が拳を振り上げたのを見て、俺はハッとして咄嗟に後ろからソクジン君に抱きついた。
「え!?」と明らかに動揺したソクジン君の声が上から聞こえてきたが、俺は無視をした。
「ソクジン君が俺のためにこんなやつら殴る必要ないから、本当に大丈夫だから」
「え、あ、で、でも、」
「でもクソもねえ!!年上の言うことが聞けねえのか!?」
「っ………は、はい……」
女装してる時に男の声を出すのも口調が荒くなってしまうのも嫌なのだが、今回ばかりはそうも言ってられなかった。
ソクジン君が拳を下ろしたのを見てから離れたあと、ソクジン君の前に立って男達全員を睨みつけた。
普段女の声しか聞いたことがないからか、俺が男の声で喋ってるのを聞いてかなり驚いているようだった。
ちょうどいい。
怯んでいる隙にスカートのポケットからボイスレコーダーを取り出した。
「ここにお前らが俺に吐いてきた数々の暴言が録音されてる。当然バックアップは取ってあるから。俺が言いたいこと分かるよな?」
「こ、こいつ……」
「それと、お前ら色んな講義で出席ちょろまかしてるだろ?さっきお前らが言ってた通り、俺色んな教授と仲良いんだよね。その事言ったら、単位取れないどころか停学処分なるかもな」
俺の言葉を聞いて、さっきまで威勢の良かった男たちは全員黙り込んだ。
俺がどうすんの?と聞けば全員で目配せをしあったあと、リーダー格らしい男にどうするんだと仲間の男たちが小声で焦ったように聞いていた。
「………ったよ」
「え?何?聞こえねえよ。もっと大きな声で喋れよ」
「分かったよ!!もうお前には金輪際関わらない!!これでいいだろ!?」
「あ、もう1つあった。こいつとこいつの友達にも関わらないで。関わった瞬間、全部教授に言うから」
ソクジン君の方を指差して言うと、「分かった、分かったよ!!こいつにも関わらないから!!だから絶対に言わないでくれ!!」と必死にお願いをしてきた。
次はないからなと念を押すと、男たちは逃げるように走って倉庫を出ていった。
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作者名：萩焼 | 作成日時：2022年10月2日 21時
