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「(…………今日も来ない)」
いつもなら俺の隣にいるはずのジナがいない。
それに今日だけならまだしも、もう3日もジナの姿を見ていなかった。
最近は周りにも俺とジナが一緒にいるのが当たり前と認識されているのか、女子達に「あれ?今日イケメン君いないんだね。喧嘩でもした?」と何度も聞かれた。
喧嘩なんてもちろんした記憶はない。
あるとするなら俺がジナに気に障ることをしたか。
……ううん。思い当たる節がない。
「(もしかして、雨のせいで体調崩したとか……?)」
大雨の日、ジナがわざわざ俺を家まで送ってくれた。
俺は濡れなかったけど、その代わりジナがびしょ濡れになってしまっていた。
次の日は普通に来ていたから大丈夫だったんだなって安心してたんだけど、もしかしたら時間が経って体調が悪くなったのかもしれない。
本人に確認できれば1番いいのだが、なんと俺、ジナの連絡先を知らない。
お互い携帯を持ってるにも関わらず、メールアドレスはおろか、電話番号さえ交換していなかった。
そのせいでジナの安否を確認できない。
普通、友達なら真っ先に連絡先を交換するだろうに、なんで今までしなかったのか。
それは俺が友達がいなすぎて、そういうことを真っ先にしようという考えに至らなかったせいである。
「(ジナって一人暮らしなのかな?一人暮らしだったら体調崩したらしんどいよな……)」
一人暮らしをしている身からすると、1人で体調を崩すと本当に厄介である。
具合が悪くても自分で食料や何やら調達しなくちゃいけないし、家のこともやらないといけないのは中々に辛い。
「それでは、今日の講義はここまで。来週までにレポートを提出するように」
ジナのことばかり考えていたら、いつの間にか講義が終わっていた。
やばい。今日の講義ほとんど聞いてなかった。
というかこの3日間、まともに受けた講義がない。
幸い、万が一居眠りした時ようにボイスレコーダーを回しているおかげでなんとかなってはいるが、このままじゃ良くないだろう。
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作者名:萩焼 | 作成日時:2022年10月2日 21時