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限りある今に最大規模の祝福を ページ16

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10年前、テロリストによって占拠された電波塔は、当時まだ7歳だった錦木千束の活躍により解放された。その逸話はDAで語り継がれ、彼女に憧れるリコリスは後を絶たない。隅田公園から亀戸方面に向けて歩いていくと、今や平和のシンボルとなった旧電波塔が壮大な全容を露わにした。

「心臓の話の後で言いにくいけど、私は生まれた時から五体満足の健康体やったよ。べつに何か貰った訳でもない」

「それも謎?」

「そう。謎だらけ。支援者はアランチルドレンに接触したらあかんってルールあるやろ?あ、でも千束は会えたんか。吉松さん、やっけ?支援者。…その人に救ってもらった後さ、なんで人助けなんか始めたん?普通は…て言うか、定番?は自分のやりたい事とかするやろ」

リコリコを開いた理由はまだ分かる。拘束の強い本部に縛られていれば人探しなんて現実的じゃないから、活動拠点として支部を立ち上げたんだろう。喫茶店にしたのはカモフラージュの為。千束だから出来た荒技ではあるけど理に叶っている。でも人助けは余計だ、どう考えても。

「ちょいちょい、今私が質問する番だから。その話は後で。まっだまだ聞きたい事がありますからねえ」

気付けば旧電波塔の真下まで来ていた。
見上げると折れたアンテナ部分が複雑に補強されている。綿密に設計された芸術作品みたいだ。

「Aさ、相棒は?」

千束が何気なく尋ねる。Aはまだ電波塔の先を眺めていた。

「おれへんよ」

「ん、どうして?」

Aはスカートの脇を握った。気になっていなかった周りの雑音が急にうるさい。今日が猛暑日で良かった。全身に感じる嫌な汗も不自然にはならない。

「1人の方がやりやすいから。スポッターがおらんくても私は当てれるし、敵に見つかるようなミスはせえへん」

声のトーンは変えない。千束に向き直って笑顔を作った。

「行こ?次は延空木やろ?」

「あら、もういいの?」

「満足した。で?次はそっちの番。さっきの話の続き教えて」

あ〜!真似したなぁ、と千束に肩を小突かれながら再び亀戸方面に歩き出す。未だに太陽は強く輝いていた。


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RIO(プロフ) - わざわざ返事をして頂き、ありがとう御座います! はいっ、これからも応援します! (~^-^~) (2023年1月10日 22時) (レス) id: 9824f121c1 (このIDを非表示/違反報告)
caramel(プロフ) - RIOさん» コメントありがとうございます!素晴らしいだなんてモチベ爆上がりですっ!不定期更新になると思いますが、良ければこれからもお付き合いください☻ (2023年1月10日 20時) (レス) @page14 id: 5ce05d887a (このIDを非表示/違反報告)
RIO(プロフ) - 初コメント失礼します!リコリコ探していたら丁度、気になる作品名があり拝見させて頂きました。素晴らしい小説だなっ!と思いました。続きを頑張ってください!( ' - ' >) (2023年1月10日 14時) (レス) @page13 id: 9824f121c1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:caramel | 作成日時:2022年11月26日 10時

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