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_声をあげて泣いた。
ねぇ、やっぱりわたしは、あなたを忘れるなんてこと、できなかった。
ずっと、大好きだったんだ。
お母さんも、お父さんも、結も、世界で一番、愛してた。
一番なのに、三人いるんだ、って、あなたは笑うかもしれない。そして、それを見て、わたしも微笑む。
触れたくて、手を伸ばすけど、その手は宙を掻いてしまうだけで届くことはない。
あぁ、逢いたい。
やっぱり胸が苦しい。縋るように前を向けば、眼前にはヨコハマの街が大きく映っていた。探偵社の人たちのことを想うともっと酷く心音が響いていく。
わたしは、しあわせ者だ。そう言わないと、わたしよりも苦しい思いをしている人に申し訳がないじゃないか。
苦しくない、哀しくない。そう思うことでわたしは自分を立ててきた。でもどうなんだろう。わたしは、哀しくない、のだろうか。考えたって、このこころを完璧に形容することはできない。だからこそ、こころの正解が分からなくって、わたしたちはいつも、すれ違ったままでいる。
みんなが幸せな世界には、なれないんだよ、きっと。
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作者名:うずのしゅげ x他1人 | 作者ホームページ:https://twitter.com/paskfloro
作成日時:2022年1月28日 16時