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10 朝が降る ページ14

_いままでに、たくさんのかなしいことがありました。

 大切な人ばかりが離れていってしまって、人を畏れました、恋を畏れました。

 しかし、どれほど痛く哀しきことが自分の身に降りかかったって、地球は自転を止めません。朝は降り続けるのです。

 その日々を鬱陶しく思った時、もう耐えられなくなって、生きることを終了させようとした時、思い返せば、ひどい人生です。

 みんながしあわせな世界を望むだなんて、馬鹿です、あなたは、馬鹿です。

 ただ、あなたのその言葉は、わたしの頭を離れませんでした。記憶だけが日々をかけて美しくなってゆくのですから、困ったものです。

 わたしも、望みます。みんながしあわせな世界。

 わたしも、馬鹿なんです。

 そして、お母さん、お父さん。わたしはあなたたちを殺した人を、好きになってしまいました。

 親不孝な娘でごめんなさい。

 謝らねばならないことは、他にもたくさんあります。ごめんなさい。

 ただ、愛は本物です。わたしはお母さん、お父さんが、大好き。

 そして今、新たに大切な人はとなりにいます。

 わたしはこの人を愛しています。それはもう深く、深く。

 だから、許してください。わたしがこの人を好きになってしまったことを。いつか四人、いや、五人で、世間話でもしましょう。だいぶ先のことになってしまうかもしれないですが。

 待っていてください。わたしは生きて、死にます。

 あれだけ嫌悪していた毎日を越えて、わたしのとなりには大切な人ができました。

 朝が降って、沈み、朝が降って、沈み、繰り返すだけではない日々ですが、苦しいこともありますが、その先に広がるしあわせを想像してください。どうか希望を、絶やすことのないよう。


  *


 となりにすわる、あなたを見る。

 視線に気づいたあなたは、わたしに触れる程度のキスをする。

 顔が離れて目が合って、二人で微笑む。

 しあわせ、しあわせ。わたしは今、とてもしあわせです。

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作者名:うずのしゅげ x他1人 | 作者ホームページ:https://twitter.com/paskfloro  
作成日時:2022年1月28日 16時

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