キミとピアス ２

． ページ27

「“たつくーん”」





お仕事中だから無理かなーと思っていたら



すぐに既読がついて返信も来た





『“はーい。どしたの？”』


「“今大学の門の前なんだけど、渡辺翔太さん来てるの。

なんか聞いてる？”」





そう送った瞬間、電話がかかってきた





「わっ、」


【Aどうしたの？】


「ごめん…たつくんから電話きたから出てくる」


【ふっかマジでAのこと大好きじゃん笑】


「まなちゃん！！」


【はいはい笑 いってらっしゃーい笑】


翔『……………』





まなちゃんに見送られて少し離れた場所で電話に出た





「もしもs」


『“なんもされてない！？”』


「ぎゃっ！！」





出た瞬間音割れするほど大きな声が聞こえて大声が出てしまい、



思わず口を押さえる



…耳ちぎれるかと思った





「………声おっきいよ…」


『“ごめん…そっち翔太いるって本当？何もされてない？”』


「渡辺さんいるのは本当だよ。大丈夫」


『“それならいいけど…橘ちゃんも大丈夫？”』


「うん……大丈夫」





まなちゃんのことを聞かれた時、なぜか胸が痛んだ



……なに、この複雑な気持ち



たつくんが優しいのはいつものこと



…なのに、今までに無い程胸の中にモヤモヤが広がった





『“よかったー……俺もそっち行きたいけど、

これから仕事だから行けそうになくて…ごめんね”』


「そっか…残念…けど、今日は声聞けたから」





会えなくても声が聞けたなら満足



…うん、大丈夫



たつくんはもうどこにも行かないもの



そう自分に言い聞かせていると、



電話の向こうから笑い声が聞こえた





『“……またそう言うかぁいいこと言う…無自覚って怖いわわら”』


「え！？は、可愛い！？」


『“わら……そ、Aちゃんはかぁいいの”』





一気に顔が赤くなるのを感じ、恥ずかしさと嬉しさで



その場にしゃがみ込んだ



電話の向こうからは楽しそうなたつくんの声



照れ隠しで思っても無いことを口にする





「……チャラい、やだ！！」


『“そんなこと言って、本当は嬉しいくせにわら”』


「うるさい笑」


『“否定しないのねわら”』





笑いながら電話をするこの時間がいつでも幸せ



…この時間がずっと続いたらいいのに



そう思った瞬間だった



突然、スマホが耳から離れた

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