キミとピアス ２

． ページ21

『あ、そうだ。橘ちゃん』


【？…はい】





駅の改札へと向かおうとした橘ちゃんが振り返り、



不思議そうに俺たちを見る





『今度からさ、ふっかって呼んでよ』


【えっ！？】


『そんなに驚く？わら…これからよく会うようになるし、

愛称の方が呼びやすいでしょ？』


【……よく会うようになるって、どういうこと……あ！！】





橘ちゃんは俺とAちゃんを交互に見て、



何も言わずにグーサインを出す



ちゃんと理解してくれたみたい



…今彼女に言う訳にはいかないからね





「え、どういうこと？たつくん、まなちゃんと2人で会う気？」


【ブハッ！！笑笑………そうだった笑 A鈍いんだった笑】


『2人で会うことはないよわら

…3人で会うことは増えると思うよ？』


「……？？」





頭にいっぱいはてなマークを浮かべた彼女を取り残し、



橘ちゃんは改札を通って帰って行った










Aちゃんを家まで送る帰り道



俺の隣でずっと不貞腐れている彼女



…理由はなんとなく分かるけど





『Aちゃーん？どうして拗ねてるの』


「……たつくんとまなちゃんだけの秘密持ってるのずるい」


『わら……そのうち分かるよ』


「はぐらかさないで！！！」


『ごめんってわら 怒んないで？』


「…………いつ分かるの？」





いつ…いつかな…



いつかは分からないけど…これだけは言えるかな





『…Aちゃんが自覚したら』


「？？………ますます分かんないんだけど」





いまだに彼女の中での謎が解けないまま、



Aちゃんを家まで送り届けた





「たつくん、ありがとう」


『いいえ。遅くまでごめんね』


「ううん。楽しかったからいいの」


『わら……それなら良かった。また明日、迎えに行くね』


「うん、待ってる。じゃあ…おやすみ」


『おやすみ』





そう言って俺はいつものように彼女の頭を撫で、家を後にした





アパートの外まで出て、彼女の部屋の方を見れば



ベランダから手を振って見送ってくれていた



それに応えて手を振り、駅へと向かいながら呟く





『………いつになるかな…』





いつまでも待たせるわけにはいかない



彼女の気持ちが、俺と一緒かはまだはっきりしないけど



…俺も、覚悟決めなきゃ

２１．再び→←．

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