キミとピアス ２

１６．手紙と真実 ページ2

凪良side



「言いすぎた……」





あれから2日が経ち、今はカフェのテーブルに突っ伏している



家にいてもずっと考えてしまうから



ここに来て気分転換をしようとはしたものの…効果なし





深澤さんがいつものように大学に来たあの日、



ラウールくんにカフェに誘われた…けど



深澤さんに真剣な表情で『話がある』なんて



言われてしまえば断ることなんかできなかった



またあの時の話を始めた深澤さんに私はイラついてしまったのだ



だから…思ってもないことを口にした



こんなの言い訳じみているのは分かっていた





小さく溜息をついて窓の外に視線を移す



悲しそうな表情を浮かべる彼を思い出してひどく胸が痛む



…あの日から、深澤さんは来ていない



深澤さんが大学に来てくれるから、



私は何もしなくても会えていた



私は…どこに行けば彼に会えるのか知らない



『俺はAちゃんのことよく覚えてる』



私は深澤さんのことを何も知らない



知っているのは



ジャニーズ事務所所属のSnowManというグループにいる深澤さん



…それだけの情報で、彼のことは何でも分かるかもしれない



でも…それはジャニーズに関してのことだけ



過去の全てを知り尽くすことはできない



それが嘘か誠かも知ることはできない



私と彼の間に何があるのか



…私は何も思い出すことが出来なかった





「また…会いたいな」





あんな酷いことを言っておいてまだ会いたいだなんて…



都合がいいにも程がある










あれから1ヶ月



私は……完全に上の空になっていた





【Aー。またバイト詰め込んだの？】


「まなちゃん……」


【最近ずーっと上の空だけど。…ちゃんと休んでる？】


「うん……」





……心のどこかで、あの人を求めている



でもそんなこと…言えるわけない



だって…相手は芸能人だし、まなちゃんが好きなジャニーズだし



あれからラウールくんにも会えず、全く話せていなかった





【…ねぇ、本当に大丈夫？】


「え？……うん」


【…………いっつも大丈夫って言うのに。

…本当に言わないってことはなんかあるんじゃないの？】


「……本当になんでもないよ。ありがとう」





教授が授業の終わりを知らせ、



会場の生徒はすぐに席を立ち、いなくなった



まなちゃんもバイトがあるからと先に行ってしまった



私は……バイトもしばらくお休みなので家に帰ることにした

．→←辰『え、もう来ちゃったの！？』

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す