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「………ん」



「……ちゃん」








「Aちゃん!!!!!」









『っ!!!』






「良かったぁぁぁぁぁぁぁぁ やっと起きたよぉぉぉぉぉ」








まだ状況を理解しないぼーっとした頭に、

騒音が突き抜ける。



この声は…




どうやら、まだ意識が朦朧とする私の横で、

同期、我妻善逸が、大声で泣き叫んでいるようだった。






「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!
なんで俺の事おいて倒れちゃったんだよぉぉぉ!!!」






「Aちゃんが倒れたらッ、もう俺たち為す術無いんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ?!?!?!」






『は…ぁ』






鼓膜が破れそうな声に耳を塞ぎたくなる。

私は彼の勢いに負け、よわよわとした声を返した。






「何よその返事ッ!!!!! 鬼との戦闘中に気を失うなんて前代未聞だから!!!!!! ありえないからァ!!!!」






に…… おに…… 鬼。

その一言に、脳が一気に活性化するのを感じる。



そうだ、思い出した。

私たちは西の山の方へ、鬼を狩りに来ていたんだった。







『ッ そうだ!!!!! 鬼は!!!!!!』






ガバッと体を起こし、彼の肩を揺らした。

彼はゆっさゆっさと私の力の言いなりになりながら、

ヘロヘロの声で言う。






「分かんないよぉ、俺もAちゃんが倒れたあと、
怖くって意識を失って、それで…」






『起きたら、鬼が居なくなってた とでも?』





からかうようにそう聞くと、彼は首を縦に振る。






『謎だな』





実際受けいれ難い状況ではあるものの、

私は冷静にその話を飲み込んだ。


正直頭痛がすごく、何も考えたくなかったからだ。



経験したことの無いほどの痛みに顔を歪める私を見て、

苦しそうに彼は聞いた。






「というか、Aちゃんこそ、急に倒れたりしてどうしたんだよ...」







私が正直に






『それがさあ、何も覚えてないんだよ』






と答えると、愚痴を呟くように、






「俺鬼よりそっちのが怖かったからね?

勘弁してくれよ全く...」






彼は屈んで私に背中を向けた。





……






『いいの?』






「大丈夫だよ、こんくらい 苦しそうだし、乗って」






そんなことない、と反論しようとしたら

実際自分の体が言うことを聞かないことに気づいた。






『流石だな』






「当然だよっ!」





我妻は満足げに微笑む。


そうして、私たち(正確には彼だけ)は、

蝶屋敷を目指してフラフラ歩き出した。

参→←壱



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設定タグ:我妻善逸夢 , 鬼滅 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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作者名: | 作成日時:2023年1月21日 21時

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