番外編2 【さとみsaid】 ページ10
おそらく、昨日の任務のせいでAは風邪をひいてしまった。
(ごめんな、無理させて)
片手にポカリと冷えピタの替えを持ってAの部屋に向かう。
ゆっくり開けると、Aは起きており、溜息をついていた。
(起きて早々ため息か)
少し呆れたあと、Aと軽く会釈を交わし、冷えピタを変えた。
冷えピタを変えている時のAは終始嫌そうだった。
今日のAは風邪のせいでまぁそれはそれは…うん。ヤバイ。
マスクから覗くえらく紅潮した頬に、いつもよりも少し早く荒い息。熱で額に流れる汗など…
俺は理性はギリギリを保っていた。
そんな中、「なぜ看病してくれるのか」などと可愛いことを聞いてくれるので、俺はもう風邪がうつる覚悟で、Aに近づいた。
そして逆に問う。
「なんででしょーか。ちょっと考えてみ」
熱のせいで、思考なんて働くはずないのに。
(こーゆーの見ると、意地悪したくなるんだよなぁ)
いつも通りの難しい顔のはずなのに、今はまるで別人。
なんて、考えていると、Aが咳き込み始めた。
咳き込んだあと、Aは明らかに息が上がって、紅かった頰をさらに紅くさせていた。
(あ…マジでやばいかも…
ってか、ここまで耐えている俺はかなり凄い方じゃ…？)
息が上がっていることを心配しても、ここはいつも通り大丈夫と俺の心配をはね返した。
説得力の欠片もないが。
そこで、Aを起こし、持ってきたポカリを渡して飲ませた。
いつも強気なAが両手でペットボトルを持って少しずつ飲んでいくのはかなりレアだ。
ちょっとだけしか飲んでいないが、ペットボトルの蓋を閉めて、小さくお礼を言い、俺に渡した。
すると、荒い息の中で、小さな声で喋り出した。
「私が、げんきになったと、して…」
「うん」
「見返りを、求める…これは、あってる…？」
(ちょっとよくわからない。元気になったとして、見返り？まぁ、要するに頭は全然回って無いな。)
「…あってるけど間違ってる。」
不思議そうに俺を見つめる。
聞かなくてもわかる。これは本当の答えを求めている時の顔で、
20歳とは思えないほど幼い顔だ。
「Aが、悪い事したら見返りを求める。でも、俺達にちゃんとこれからも従ってくれたら、全部無しってことにする。」
「…かえすきは…ないんだ……？」
「うん、今のところは無いよ」
Aは少し悔しそうに目線を逸らした。
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aruya100(プロフ) - ご覧いただきありがとうございます。どなたでも読みやすいように書けるよう善処します…(汗)ありがとうございます、少しでも更新できるよう、お話し進めて参ります！ (2022年4月2日 23時) (
レス) id: b60ccdc28b (このIDを非表示/違反報告)
rine - 内容が少し難しいかなと思ってたけど、すごく面白いです！ 負担にならない程度に更新頑張ってください！ 続きが楽しみです… (2022年4月2日 9時) (レス) @page22 id: e67e995d1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aruya100 | 作成日時：2020年11月19日 20時
