64 ページ17
さらに2週間が経った。
Aの状態は良くなりつつあり、会話も前に比べて弾むようになってきた。
さとみは自分の作業を一通り終えて、時計を見た。
ただいまの時刻、11:40くらい。
ベッドに座ってモカと戯れているAにさとみが声をかけた。
「A」
「、ん？」
Aの朝は遅く、反応は遅い。
「散歩する？此処の中だけだけど。お昼近いし、散歩のついでに昼飯食おうぜ。」
すると、Aは少し驚いた顔をして、さとみの顔を見た。
「此処案内してくれるの？」
「おう、まだAには案内した事なかったよな？」
「いや、なかったけど、自分人質だし、いいのかなーって思って。」
「あぁ、そういう事なら昼飯だけでもいいけど。」
「いや、行く。」
「即答かよ」
少し笑って、Aの頭を撫でた。
このさとみの行動を不服に思ったAが問う。
「あのさ、そのー、これ、いつまで続くの？」
「これって？」
「私への扱い。君の仕事、かなぁ？」
さとみは最も簡単に言った。
「ん？Aが俺に堕ちるまでだろ」
「え、一生続くじゃん」
「ほぉ、それは俺への挑発って事でいい？」
「いいよ、絶対堕ちないので。」
「へぇ、言ったな？」
そう言って、またAの頭を撫でた。
今のAの情緒は良好。
会話をする声も先程より弾んでいる。
連れ出すなら今だ。
Aはドアの方へ歩いていくさとみの姿を見て、少し慌てて追いかける。
何がいるのかな、とか考えていたらドアの方から声がかかった。
「お前は何も持っていかなくていーの。スマホだけ持っといて。」
「あ、携帯…」
此処で暮らして4ヶ月、最近ようやく携帯なるものが支給された。
あと、さとみの部屋にだけ入れるカードキー。
その時Aはついでで聞いたのだが、幹部はマスターキーを持っているらしい。
それを聞いた時は、
なんて贅沢な奴ら…金の使い方が違うな…
と、敵ながら感心していた。
「携帯の存在忘れてたろ」
「仕方ないじゃん、この4ヶ月なしで過ごしてたんだし。それに此処くるまでガラケーだったし。」
笑いながら馬鹿にしてくるので、とりあえず言い訳を投げ返しておいた。
さとみは、この返答を見て安心した。
少しずつ戻ってきている、と。
実は、このスマホ、Aの鬱状態を見兼ねてさとみがななもりに相談して支給したものだった。
「そんじゃ行くか。」
「ひな、モカ、行ってくるね」
可愛らしい2匹のペットに見送られて部屋を出た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 94人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
aruya100(プロフ) - ご覧いただきありがとうございます。どなたでも読みやすいように書けるよう善処します…(汗)ありがとうございます、少しでも更新できるよう、お話し進めて参ります！ (2022年4月2日 23時) (
レス) id: b60ccdc28b (このIDを非表示/違反報告)
rine - 内容が少し難しいかなと思ってたけど、すごく面白いです！ 負担にならない程度に更新頑張ってください！ 続きが楽しみです… (2022年4月2日 9時) (レス) @page22 id: e67e995d1b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：aruya100 | 作成日時：2020年11月19日 20時
