義経には妹がいた模様です。3

苦しくなってきた。 ページ8

数日前、なんとなくは予想していたが、ナツメが姫…つまり朱夏だということが判明した。


それもあってか最近空亡の出入りが多すぎて体に負担を与えるようになってきてしまった。


簡単に言えば苦しい。息苦しい。

私はハルヤがいない時を図って空亡を呼んだ。

「空亡…」

体のどこにいたのかは知らないが、とにかく出てきた。

空「ナンダ…？」

「…空亡の出入りを少し減らしてくれないか…？

この体だとどうしても体力の方が持たない気がするのだ。

まだ力も蓄えている途中…器が持たなくなれば元も子もないだろう？」

少し考えてから(表情が読めないため考えていたかわからないが)空亡は言った。

空「…イイダロウ…スコシヒカエヨウ…」

と言い残したあと、また体に入っていった。


「ふぅ…そろそろ潮時でもあるのか…？」

小さく息をついた後、呟いた。


空亡の動きが活発であり、だんだん妖気も強くなっている。

空亡が覚醒する時が近ずいているといっていいだろう。

それと同時に自分も覚醒するはず…朱夏も。

朱夏と咲美雨が生まれ変わる時はお互い何を思っていたのかわからない。

彼奴が生まれ変わったということはそれほど大きな思いがあったからだと言える。

私は自らがこの存在を作り上げ、その記憶を叩き込んだといって等しいために、強い思いを持っていたわけではない。

強い思いを持っていなかったわけでもない。


こんなふうにぼんやり考えているときでも空亡は出入りを続ける。

まるでありのようだ。

出入りをする空亡が働きアリ。この本体が女王アリ…やはりよく似ている。


「…そろそろ動き出すか…」

私は腰掛けていたソファから離れてそういった。



遅れを取りたくない。それに動き出さない限り、進まない。






______長年に渡り閉じられた重苦しい神話の扉は…

作者より→←いつの間にか時間が経っていた。

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