狐と狸と不敵な弱さ ページ13
side狐
ピーッという笛の音が響き、ネットの向こうで崩れ落ちた相手校を眺める。
「「「ありがとうございました!!」」」
15-25
18-25
北川第一中学、二回戦突破
そんな報せを引っさげて会場の廊下を歩くと、いくつもの声が聞こえてくる。
賞賛と畏怖、それから罵倒。
相手が積み上げてきた努力も、功績も、意志も、俺たちの力でねじ伏せた。同情だなんてこれっぽっちもない。
『......。』
「なんだ、いやに静かだな。」
『えー、そんなことないよ。』
「いや、普段の狐なら喜びの舞とかなんとか言ってふざけてるデショ。」
『だっちんの中の俺ってそんなにやばい人なのね...』
嘘、去年の俺だったらやってた。先輩と監督に叱られたけど。
...罵倒の中身は大抵俺の話だ。
今向かいからくる他校生の会話も、そう。
「北一で強いのって狸森だけだろ?」
「いや、立野もそれなりに強いっしょ。あと2年の里とか。」
「まあ狐島に比べたら大体のやつはつよいって」
「あれだろ、セッター志望が狐島以外いないんだろ、2年にも3年にも。」
「え、なに嫌がらせでもされたの?」
「うわそれサイテーじゃん」
ああ、自分の話になると、人より数段は良くなる自分の耳が恨めしい。
『陽ちゃん、俺トイレ行きたい!』
「さっき行きたいやつは行けって言ったべや!」
『今行きたくなったの!』
そんな風に大声で話せば、どんなに直前まで俺の話をしていても、大抵のやつは黙って通り過ぎるか他の話題に変える。
「........。」
誰に言われなくても知ってる。
俺は、このチームで一番弱い。
「狐、オレもお手洗い行きたくなったカラ、行こ。」
「立野お前までかよ!」
「大丈夫でしょ試合終わったし。すぐに追いつくから狸は先に行って監督に伝えて、頼むね。」
「...わあったよ。A、迷惑かけんなよ。」
『かけないよ!幼稚園児じゃないんだから!!』
陽ちゃんの背中があっという間に小さくなる。
「ネェ狐。」
『なにだっちん』
「オレ、お手洗い行きたくなくなっちゃった。ちょっと付き合ってヨ。」
『......俺がトイレ行きたいのは無視なのかな。』
「嘘つくのはコート内だけにしてクレル?」
『バレてた?』
「狸は気づいてないよ。で、今日は何考えてたの。」
だっちんは、良く人に気がつく。
チーム全体の調整役で、
だからこそ、言えない。
『なーんにも、考えてなんかないよ!』
俺はいつだって不敵でいなければならないんだ。
狐と狸と首輪紐の独り言→←ありがとう5000ひっと愛してるぜ順位更新
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八重紅(プロフ) - 鈴の木さん» ただいまぁぁぁぁぁぁぁあぁあああああぁぁぁぁぁぁぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!ありがとうございますううううううううう!!! (2019年1月30日 23時) (レス) id: dc0d2983b0 (このIDを非表示/違反報告)
鈴の木(プロフ) - おかえりなさあぁあああああああぁああああああああああああああああああああぁぁぁい! (2019年1月30日 21時) (レス) id: 2704f327a3 (このIDを非表示/違反報告)
八重紅(プロフ) - 雷雅さん» 長い、長い間お待たせしました!!!まだまだどうなるかわからないんですが、これからも頑張ります! (2019年1月30日 20時) (レス) id: dc0d2983b0 (このIDを非表示/違反報告)
雷雅 - 更新頑張ってください! (2018年3月29日 13時) (レス) id: e8ca574508 (このIDを非表示/違反報告)
八重紅(プロフ) - ありがとうございます!...いや、もうほぼほぼ私個人の解釈です(笑) (2017年12月29日 9時) (レス) id: 6de9376627 (このIDを非表示/違反報告)
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