229個目の気持ち ページ6
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もし、一が助けにこなかったら、私の運命はどうなっていたのか。
もしかしたら、この世にいなくなる可能性だってあるかもしれない。
まだ、親孝行もしないまま死にたくはない。
そう思ったら、いつの間にか涙と一緒にぽろっと口から言葉がでてしまった。
『....お母さん....大好きだよ...!』
「....ふふ、私もよ」
ずっと隠しとうしていたこの想いをこれからは一に伝えていこう。
母親に真っ直ぐ言えたように。
好きと言う、
たった2文字が言えるこの環境に生まれた事に感謝したいって思った。
そう。
本当に感謝をしたい....
そんなちょっとした、数分の幸せな出来事だった。
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『いってきます!』
自宅をでて、一の言ったとうりに手ぶらで学校に向かった。
天気は晴天で心地よい暖かさと風が気持ちよかった。
昨日と変わってすばらしい日。
初めてこんなに清々しい登校をしたと思う。
鞄を持ってないし身軽だからだろうか、背中に羽がはいたように足も軽やかに動く。
まるで、自分がこの世にいないみたいにって。
そう思いながら、いつの間にか学校の校門が見えてきた。
白いブレザーとチェックのスボンとスカートを着ている学生達。
そして、校門前で私に向かって大きき手を振る、背の高い桜色をした優しい色合いの頭髪の男子が笑顔でこう叫んでいた。
「神崎〜」
『花巻!』
急いで花巻のところに駆け寄った。
すると、登校中の人々がいる前で、彼は私をぎゅっと抱きしめたのだ。
周りの目が痛い。
『花巻!?』
「ああ、神崎だ〜.....」
『え?』
「お前の顔が早く見たくて、心配で部活抜けてきた。
だから、お前が見えた途端に思わず我慢出来なかった」
『それは、どうゆう....』
彼の言葉に不思議な感情を抱いた時、耳元でこう言われた。
「なぁ、少しだけでいい。
お前を一人占めする時間を皆よりちょっと多く俺にくれないか?」
『うん... わかった』
花巻の圧に負けて、私がそう返事をすると、彼は嬉しそうにして私に向かってお茶目っ気なウインクをした。
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作者名:アルテミス | 作成日時:2018年6月17日 19時