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そして、わかってほしかった。
「私を見ていなくても、それでも、好きになってもらえるように頑張ります!」
亡くなった彼女を忘れられないからきっと優しい岩泉君は、
その事を付き合っている彼女に知られてしまったら、逆に遠慮されるのが嫌なのだろう。
だから、この想いを知ってほしかった。
人を想って、前に進めないのなら、私みたいにそう想っている人もいる事を知ってほしかった。
私がそう言うと、岩泉君は、ははっと笑ったのだ。
思いもよらない状況に戸惑いを隠せない私に、岩泉くんはこう返事をしてくれた。
それはまるで、亡くなった彼女にしか見せないような瞳で私を見つめて。
「初めて言われたはそんな告白。
そうかぁ...
俺はお前が笑ってくれたら、それだけで嬉しいわ」
どこか遠くを見て、ふっと優しい表情の中に悲壮感とゆるぎない想いが彼の瞳でわかった。
その言葉はきっと、亡くなった彼女に言ったものだろう。
フラれるのだろうとわかっていても、彼が誰にも見せないその表情にふっと嬉しくなった。
ああ、きっと彼は前に進める、だから応援してあげようと。
そして彼は、私の好きだった、真っ直ぐ前を見つめる瞳でこう口にした。
「なあ....
こんな俺だけど、俺と付き合ってくれねーか?
あいつを毎日じゃなく、
命日だけ思い出させてくれるまで.....
俺を愛してくれねーか?」
私が告白したのに、まさかの告白仕返した事に私は泣いて笑ってしまった。
そして、私達は恋人同士になった。
とても、嬉しかった。
けど、もう一つ芽生えた想いがあった。
男らしく、自分の事は自分で何とかする頼れる人が、
私を頼った事に、この人と生涯一緒にいたい。
守ってあげたい、幸せにしたいっていう想いだ。
.
.
.
「.....ここに生まれてきてくれてありがとな。
絶対に、俺が死ぬまでお前のそばにいる。今度は、絶対に.....」
「......うん。私もお父さんの娘でよかったって思うよ」
「ああ、俺もお前が娘でよかったって思うよ」
だから、今貴方が泣いている姿を見て、私は嬉しいと思う。
.
.
娘が亡くなった彼女の生まれ変わりで
彼がやっと呪縛から解放された事が嬉しくて
私もキッチンの隅でこっそり泣いていた。
スペシャルストーリー 及川の想い→←スペシャルストーリー 奥さんと岩ちゃんの話し
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作者名:アルテミス | 作成日時:2018年6月17日 19時