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「ねぇ、はじめ君」
「うん？なんだ？」
病室のベットで、我が子を抱えながらあやしている時、妻は俺にある話題を持ちかけた。
「この子の名前ね....」
娘が生まれる前に２人で娘の名前を決めた。
晴天のような輝かしく、
誰からも愛らしく可愛らしい子にそだってほしいと意味を込めて、
晴天の晴から、可愛らしいを花にイメージして、晴花(はるか)と名付けた。
お互いの両親も満場一致だった。
「ああ、晴花だろ？」
そう言うと、妻は言いにくそうにこう言ったのだ。
「うん。そうなんだけどさぁ....
それを止めて、Aにしない？」
「.....え？」
「この子の顔見て、なぜかふっと降ってきたの。ダメかな？ 」
なのに、妻は子供の名前を変更したいといいだした。
その言葉に一瞬、驚いた事を今でも覚えている。
なによりも驚いたのは、妻に元カノが事故で死んだ事は話していたが、名前までは教えてはいなかったから。
これは神様のイタズラか、神様が俺に罰をあたえたのかと、そう思った。
けれど、これが神様の好意であったのならば俺はこの子に言わなければならない。
「A.....」
「....え、な....なに？」
抱きしめていた腕をそっと解放して、こう俺はこう言った。
「.....ここに生まれてきてくれてありがとな。
絶対に、俺が死ぬまでお前のそばにいる。
今度は、絶対に.....」
「......うん。私もお父さんの娘でよかったって思うよ」
「ああ、俺もお前が娘でよかったって思うよ」
娘の笑った顔が不意に、Aの顔を思い出す。
そう思うと、今日、この事実を知ってよかったと思う。
娘の誕生日もあいつと同じだった事。
名前だけではなく、生まれた日も同じだった事が罰ではなく、神様のご好意だったと。
３０年間ずっと心の隅に思っていたしこりが、すーっと取れて、心が軽くなったと思う。
もし、Aの生まれ変わりであったなら、
俺はこの残り少ない時間を使って、
違う形になってしまうが俺の愛情をいっぱい注いで愛していきた。
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そう思った、土曜午前の朝食の出来事だった。
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作者名：アルテミス | 作成日時：2018年6月17日 19時
