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「お父さん、おはよ!」
「ああ、おはよ」


その声の正体は、元気な声に張りきった顔をする娘だった。


「お父さん、今日は起きるの早いね。あんなに、お酒も飲んでたのに〜」
「変な夢見て目が覚めたんだよ。それより、今日から春高の予選だろ?」
「うん!」


娘は食卓の上に並べられている料理を見ながら、
冷蔵庫からとりだしてきた牛乳をコップに注いで口に流し込んだ。


「ぷはっ!!美味しい!!」


飲み干した姿は、サラリーマンが仕事終わりの一杯のビールを飲んだような姿に、ふふっと鼻で笑ってしまう。
そんな事を知らない娘は俺に話の続きをしてきた。


「このまま勝ち進めれば、決勝で新山女子との因縁の対決!今回は絶対にこの青葉城西が勝つ!」


そう言って、またコップに牛乳を注いで口に流し込んだ。


俺の娘は青葉城西に入学。
そして、俺と同じバレー部に入り、今では主将でエースをしている高校三年生だ。

負けん気とガッツは俺に似たのだろう。
もっと女の子らしく育ってほしいが、同じ道を辿ってくれた事には正直嬉しい。


そう思うのも昔、自分が最後の春高予選で鳥野に負け、
そして永遠のライバルである白鳥沢を負かす事ができなかった。
最終目的の全国行く事も叶わなかった。


親の期待を子供に背負わせる事は、子供の未来や自由を奪う事になる。

だから、将来は自由な人生を歩んでほしいってそう思ったが、やっぱし、血は争えないらしい。

でも、それがこの子の今のすばらしい人生なら、俺は応援したい。


「その勢いで、準決勝まで勝ち進んでこいよ。
 それに、今日はお前の誕生日なんだからな。
 いい気分でお祝いしようじゃないか」

「わかってるよ!絶対に勝って、誕生日会もいい日にするから!」


そう言って、拳をあげ、勝利を目指す目をしていた。


「おまたせ〜」


丁度その時、朝食の準備ができたらしく妻が最後の料理を運んできた。


「じゃあ、いただきましょうか」
「そうだな」
「いただきま〜す!」


手を合わせて三人とも黙ってご飯を口に運んだ。

炊きたての白米と出汁がきいたみそ汁。

甘塩っぱい卵焼きに、干物。

これぞ、日本の朝食って感じのメニューだった。

そして、なにより味付けがいい。

俺の奥さんは料理上手だといつも思っているが、恥ずかしく、あまり口にはださないかがな。

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作者名:アルテミス | 作成日時:2018年6月17日 19時

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