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258個目の気持ち ページ35

岩泉side


「岩ちゃん。俺は岩ちゃんと下駄箱で別れた後、Aのもとに行って告白したんだ」


及川は俺を力強い目付き見つめながら言う。


「でも、俺はフラれた。言わなくても分かるでしょ?!!」

「ああ....」

「Aは岩ちゃんが好きだから。だから俺をフったんだ。
 でも、俺はフラれる事はわかってたし、
 なにより2人がやっとくっ付いてくれる事が何より嬉しかったんだよ!
 誰でもない、岩ちゃんだったから。
 岩ちゃんなら幸せにしてくれるってわかってたから!!」


その言葉を言われるとは思ってなかった。
及川はきっとAを譲りたくないっと思った。
だから俺はあの時、宣戦布告した。
けど、あいつは笑いやがった。
その意味がやっとわかった気がした。


「知ってるよ。
 誰よりも、岩ちゃんがAの事好きなの知ってる。
 それを、真剣に言われたら、俺は笑うしかないじゃん!」

「岩ちゃんが幼馴染みで、本当によかった.....」


俺達の幸せを願って身を引いた及川に俺はなんて事を言ってしまったのだろう。
及川は自分ではなく、俺にAを譲ったのに、
俺じゃない方が幸せだったて言われる気持ちは痛いほどわかる。

あの時、影山の事で追い込まれた及川に説教した中学3年の自分に見られたらきっと殴られるだろうな。


「悪かった、及川.... 不適切な発言をしたな.....」


俺がそう言うと、ぷんぷんっと怒った態度のままこう言う。


「やっと、わかったの? 岩ちゃんの鈍ちん! 」


俺に怒りを伝える及川に、俺は黙って聞きつづけた。
けど、それもエスカレートしてきた。


「石頭!!この、筋肉馬鹿!!天然馬鹿!!」


途中から、悪口になっていた。


「及川、お前な....!!」


いつもと同じように怒りを見せると、それに気がついた及川はシュッっとした態度になった。


「はは...!!」


そんな姿を見て、さっきまでのドンよりとした雰囲気からいつもと変わらない感じに、イラだった気持ちも落ちついてきた。


「あ!笑ったな!さっきまで、俺に怒鳴りつけたの俺は怒ってるんだからね!」
「ああ、悪い悪い」
「聞き流すよな返事しないでよね!」
「悪い、悪い。本当に悪かった」


きっと、これが違う奴だったらこうもいかなかっただろう。
恥ずかしいが、及川がライバルであり幼馴染みでよかった。


「及川、ありがとな」


お礼を言うと、及川はふふっと笑いながらこんな事を話してくれた。

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作者名:アルテミス | 作成日時:2018年6月17日 19時

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