検索窓
今日:11 hit、昨日:19 hit、合計:11,384 hit

254個目の気持ち ページ31

.
エレベーターで、Aが眠る会場へむかう。
ボタンを押して数秒で到着。
ドアが開くとふっと目につく。
先頭にぽつんとパイプイスに座る人がいたのだ。


「岩ちゃん?」
「ああ、及川か....」


それは岩ちゃんだった。
振り返った顔はとても元気がない表情だった。
それよりも、振り返る前の背中は悲壮感を漂わせていた。


「どうしたの?

 そんな離れた所に座って....
 
  近くに来て、顔見ないの...?」


そう言うと、岩ちゃんは首を横にふり下を見つめ続けていた。

まあ、気持ちはわかる。

俺も、ずっと見ていたらきっと苦しくて、泣きたくなるだろ。

でも、明日になったらもう、この顔を見れなくなる。

だから.....


「見るの辛いと思うけど...「消えないんだ....」....え?」



苦しい声は俺を話を無視して喋りだす。
それは、見ていられないほどだった。


「消えないんだよ、俺の脳内から....


 あいつの声も笑顔も肌の感触も、泣き顔も、髪の匂いも....


 あの日の夜の事が全て.....


 俺の脳内から消えねんだよ.....」



そう言って、ははっと笑った後に俺に向かってこんな事を言ってきた。


「悪いな、及川。

 俺のせいでAを死なしちまって。

 あんな事を俺が言わなければ.....

 Aは公園に向かわないで車にひかれる事はなかった....」



そう言うと、深い溜め息をした後に今度は横に首をふって、次はこうつぶやく。


「....いや、違う。

 Aとヨリを戻さなかったら、お前とAは幸せだったのによぉ....」


「岩ちゃん....」


「結局俺は、Aを不幸にさせる事しかできない、

 そうゆう運命だったんだよな....

 きっと、空の上で俺の事を恨んでるだろうよ....」



ずっと一緒にいた幼馴染みだからこそ分かる事で、
そんな自分を惨めに言う人ではない事を知っている。
だから俺は、岩ちゃんに近づき肩に手を置いて慰めようした。


「岩ちゃん、そんな事は絶対に....」


そう言った途端だった。

255個目の気持ち→←253個目の気持ち



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.1/10 (17 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
119人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:アルテミス | 作成日時:2018年6月17日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。