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246個目の気持ち ページ23

岩泉side


「.....まだか」


時計を見ると、17時10分。
約束の時間に来ないA。
なんか、あったのか?っと心配して、見に行こうとした時だった。



『はじめ〜!!』



入り口の方から大きい声が聞こえた。
嬉しそうに俺に笑いかける、
あの時の小学生に戻ったような顔でこっちに向かってきた。
急いで、昔みたいにチューリップの花を後ろに隠した。


『遅くなって、ごめん!!色々とあってね!そこの下でゆうきくんにあって.....』

「その話は後で聞く。だから、3年間ずっと言いたい事を言わせてくれないか?」


そう言うと、Aは恥ずかしそうに、うんっと頷いた。
小高い丘で、3年前はこうして俺を待っていたA。
あの時、俺の不甲斐なさに今みたいに実現できなかった事がやっとできるなんて.......



俺は今、幸せだ。




「A」


『なに?』


「好きだよ。あの時からずっと、お前の事を想ってた。

 学校でお前をずっと目で追ってた。

 部活で疲れた時に、こっそり休憩してジュース飲んでた時の笑顔も好きだ」



『うん....』



「俺はきっと、及川みたいに女の扱いは下手だけど、
 
 あいつよりお前を幸せにできると思ってる。

 ずっと、掴めなかった手を今度はずっと掴んでいと約束する。
 
 だから.....」



目を潤わしているAにやっと、これを渡せるんだ。
失った愛を2人で取り戻そう。


「ずっと、お前といたい。


 幸せにしたい、


 守ってやりたいんだ。

 
 だから....」



『うん.....』




「俺の気持ちを受けて取ってください」





白いチューリップの花をAの目の前に出した。




『.....はい!』




そして、涙を流しながらそっと差し出した花を受け取ってくれた。

っと、思った。






『............』



「......どうした?」





Aは、うつむいたまま、その手をそっと戻したのだ。

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作者名:アルテミス | 作成日時:2018年6月17日 19時

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