２４５個目の気持ち ページ22
神崎side
『はぁ...はぁ.... やっと、ここまできた.....』
しばらく走ると、やっと小高い丘にある公園の坂道まで到着した。
ここを登れば、約束の場所だ。
しかし、ここの坂は心臓破りって有名な急斜面な坂だ。
学校からここまでずっと走ってきたから、けっこう体力的にも辛い。
額から首から背中まで、汗でびっしょり。
こんな格好で告白を受けるのは恥ずかし。
一回、家に帰って着替えたい気持ちがあるが、
一を待たせるわけにはいかないし、
それよりも気持ちの方が前にいってる。
力強く、前へ一歩踏み出した。
精一杯、足を動かして走った。
早く一に会いたくて、この何もできなかった３年間の想いを終らせたい。
ずっと、心の片隅で閉まっておいたこの気持ちを貴方にあげたいの。
恋人になって一緒に登校して
デートして
それから、手を握って....
.
.
.
「あ、Aおねーちゃーん！」
その時だった。
反対方面の歩道から、私に大きく手を振ってくる男の子。
『....ゆうきくん！！』
「おねーちゃーん！！」
その子は４人で遊園地に遊びに行った時に、
迷子になった男の子のゆうきくんだった。
私が気づいた事に嬉しそうな表情で私にアピールする。
服装から見て、幼稚園のお迎えの帰りのようだ。
遠くから、ゆうきくんの母親が
「ゆうき！先に行かないの！」
って、大きい声で言っている。
だけど、ゆうきくんは話を聞かないのか、
それとも聞こえてないのかわからないが、私に夢中で手を振っている。
私も、立ち止まって大きく手を振った瞬間だった。
ゆうきくんは、歩道から道路へと足を踏み入れてこっちに向かってきたのだ。
危ないと思い、急いで私はゆうきくんを止めようと道路に足を踏み入れた時、
ゴオォー！！っと、大きい音が聞こえてきたのだ。
音が聞こえる方を確認すると、カーブミラーから見える大型の車が.....
.
『ゆうきくん！！あぶない！！！戻って！！！！』
「おねーちゃん？」
私の声はゆうきくんに届いた。
.
私の顔を見て、立ちどまったのだ。
.
.
しかし、それも一瞬の事だった。
.
.
ブッブー！！！
.
.
っと、危険を知らせるクラクションのせいで、ゆうきくんは車の方を見て固まってしまったのだ。
.
.
唖然とする現場で私は突っ立ていた足をもう一回、動かした＿＿＿＿＿＿
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作者名：アルテミス | 作成日時：2018年6月17日 19時
