【HQ】２ 最終章 俺の気持ちを受け取ってください【及川・岩泉】

１９３個目の気持ち　夕凪side ページ3

夕凪side

地面に落ちている小さい石がころりと落ちていく。



「中川さん、そんなことで飛び降りるなんて止めなよ！」


「うるさい！

　それなら、さっきの言葉を訂正しなさい！

　私は、徹を諦めるって！

　じゃないと... 私は...！！」




なぜ、そこまで必死になるのだろう。

それに、今の彼氏は実質は中川さんだ。

もしかして、徹は今でもAの事が好きなの？




『中川さん、私は訂正なんてしなよ』


「そんな事言ったら中川さんが...！！

　って、A！！」



Aは平気な顔をしながら自分もフェンスを飛び越えて、中川さんの近づいて行く。
「来ないで！」っと言い張る中川さんにAはどんどん近づいていった。


私は、その場をじっと見る事しかできなかった。

いや、しない方がいいと思ったのだ。

私が、関わる事ではないと思ったからだ。

これは、Aと中川さんの２人の恋の話し合いだ。



「来ないでよ！来たら、飛び降りて貴方のせいにしてやる！！」


『してもいいよ』


「は...はぁい！？貴方、本当にばっかじゃないの！？」


『してもいいよ。

　けど、そんな事したって徹がずっと貴方のそばにいるとは限らない。

　だって、貴方が死んだら徹のそばにいられなくなるんだよ？

　徹は、そんな事望んでないと思うから。

　それに....』



そう言って、中川さんから１mぐらいの距離に着いたAは
そっと中川さんに手を差し伸べてこう言った。


『それに...

　私も貴方がいないと嫌だよ。

　だって、最強の恋のライバルがいなかったら意味ないでしょ？

　だから、訂正もしないし徹を好きな気持ちも捨てられない。

　だって、中川さんが徹と付き合ってくれたから、私は大切な想いに気づかせくれたの。

　だから、ありがとね。中川さん....』


「......ふっ！本当に噂どうりの人ね....」



すると、中川さんは自分の手をAの手の方に伸ばしていく。

それは、きっと和解したのだと思った。

でも、それは数分の事で終わりを告げるのだ。



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「神崎さん、本当にお人好しね....

　だから、私は貴方が嫌いなのよ」


『え？』





その時、２人がなんの会話をしているのかわからなかった。

けど、一つだけわかる。



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「きゃあああ！！」




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清々しいほどの青空に、キラキラと輝く天使が舞い降りたように...



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私の声は、舞い降りた天使には届かなかった。

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