【HQ】２ 最終章 俺の気持ちを受け取ってください【及川・岩泉】

１９２個目の気持ち　夕凪side ページ2

夕凪side


『私の好きな人は、そんな人を見捨てる人じゃない。

　私は一を好きになった事は間違ってなかったんだって....

　そう思ったの。

　だから、今もこうして親友が笑ってるのが嬉しいよ』


「A...！！」



涙が溢れて、Aの胸に飛びついた。


「ごめんね！本当に...！！」

『大丈夫だよ。

　私も栞に嘘ついてたし....』

「...え？」


すると、私を剥がしてAは中川さんに向かって言った。



『中川さん』



「な...何よ！！」



『貴方が言うように、幼馴染みを理由に徹の心を弄んだ最低女だよ。
　
　あの日、徹の事が恋愛的には好きでもないのに、

　徹が私を好きって気持ちと優しさに負けて言葉に甘えるように付き合った。

　でも、付き合ったこの３年間....

　私のそばにずっといて、支えてくれた徹に私はいつの間にか恋してた。

　けど、今さら好きって気持ちを伝えるの恥ずかしかった...』




Aの言ってる事がなんとなく理解してきた。


一回、４人で一緒に帰った時、付き合ったのは三ヶ月前だって言ってた。

そして、あの日の意味はきっと私と一が付き合った日。

だから、Aも徹も付き合ったのは私達と同じって事になるのだ。





『けど、一の気持ちも知って私の心の片隅にあった好きな気持ちが目覚めた....

　その行為が、ずっとそばにいてくれた徹の気持ちを傷つけた最低女だよ。

　けど、今は貴方のそばに徹がいて幸せにしてくれてる....

　今さら、徹を好きになっても私は貴方から卑怯な事をして奪おうなんて思わない。

　幼馴染みを理由に徹の心を掴もうなんて思わない....

　今度は、ちゃんと皆が抱く恋心でちゃんと私から徹に好きな気持ちを伝えるから』




そう言って、真剣な眼差しで中川さんを見つめて笑っていた。




「な、何よ！そんな事を言っても私は....」

『だから、中川さんも奪われないように徹の事を愛してあげてね』




そう言った途端、中川さんはフェンスを飛び越えて絶壁に立ったのだ。



「中川さん！危ないよ！！」


「うるさい！

　あんたがそう言っても、私は嫌なのよ！

　ムカつくのよ！

　神崎、あんたは私に負けてるのに、なんでそんな真剣な眼差しで見つめられるのよ！

　あんたに勝ち目はないの！徹は私の彼氏なのよ！！

　もし、それでも徹に近づくなら私はここから飛び降りるわよ！」




そう言って、ジリジリと絶壁に足が宙に浮いていた。

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