【終わりのセラフ】滅びた世界の冷酷少女

#19 解放 ページ20

優がそう叫ぶも、与一には届かない。




「頼むから正気に戻ってくれ！！」




こんなときにグレンとシノアは見てるだけ。




すると優が、自らもっている刀を投げ捨てた。




「やれよ、俺は仲間は殺せない。そして与一も…お前も俺を殺せない！」




『…そいつは鬼だぞ』




「ははは」




乾いた笑いをこぼす、鬼。




「お前が俺と一緒なら…目の前で家族を失ったんなら、仲間を殺せるわけ無いんだ！！
だから早く目を覚ませよ！！馬鹿与一！！！」




『馬鹿野郎…』




私は戦闘態勢にはいろうとするが




鬼に蹴飛ばされ、そのままうめく。




『ぐうっ』




「伊織！！」




優が顔を歪める。




「おい与一！！てめえはまたベッドの下で家族が死ぬのを見てるつもりか！！
いいからさっさとでてきて仲間を守れ！！」




グレンの言葉で与一の目が見開かれた。




そして…




優にさけびながら




「うわあああああああああああ！！！」




だきついたのは、元に戻った与一だった。




『…んだよ、もどれんじゃねーか』




私は毒づくも、泣いている与一を見つめる。




案の定、グレンにぼこられているが。




…殺さずに、済んだな。

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