相澤先生のワンナイト (ページ10)

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10夜ページ10

あれから7日が過ぎた。
相澤先生がインキュバスになって14日目。
未だに解決の糸口はキスしか存在していない。

しかしながら、私達には早速試練が現れていた。
なんと今日から２学期が始まる。

少し前までは、業務連絡でしか使わなかった相澤先生のLIME。
現在は、今夜どこで待ち合わせるのかという話題で何度も通知を重ねていた。

流石に事務室で、以前のようにキスするわけにはいかない。

個性を有する事が当たり前の世界で、どこに生徒の目があるのか油断出来ない状況だ。

一歩間違えたら、とんだスキャンダルになってしまう。

夏休み中なら最悪見られても、目撃者は教職員しか考えられないから、何とか隠せるというのに…。

今どきの高校生は噂の拡散力が桁違いで、現在の私たちにとっては脅威でしか無かった。

私は頭を悩ませながら、カタカタとパソコンのキーボードを叩き続ける。

そこにピコンっとLIMEの通知音が。
すかさず確認すると、相澤先生からメッセージが届いていた。

「俺の部屋はどうでしょう。…え、え？ん？！」

何度もその文面を私は読み返す。

相澤先生の部屋に上がって大丈夫なのかという不安と、よくわからない期待感が私の中でごちゃ混ぜになった。

するとその下に新たなメッセージが送信されてくる。

「寮ができる前、勝手に一人部屋にしてた空き教室があります。…あ、なるほど。」

そういう事かと腑に落ちながら、そこにしましょうと私は返信した。

恐らく、使わなくなった棟の空き教室だろう。
それなら人が訪れる危険性も無いだろうし安心だ。

私はスマホの画面を机に伏せて、またも仕事を再開させた。