相澤先生のワンナイト (ページ7)

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７夜ページ7

「以上が、こうなった経緯です。」

「今は何日目なんですか。」

「…7日目です。」

「昨夜が6日目だったんですか」

申し訳なさそうにコクリと相澤先生が頷いた。

「深夜まで起きていないと、生徒たちの入寮に対する書類作業が終わらないんです…」

苦難した顔の相澤先生。

リカバリーガールからの睡眠薬を服用したくても、理性がサキュバスの個性に負けて、中々タイミングが上手くいかないのだろう。

どうすれば助かることができるのか、私は思案した。

助ける方法自体は見つけることが簡単である。

サキュバス特有の欲を程よく満たしてから、睡眠薬を服用すれば良いのだ。

しかしながら、事情がどうであれ恋人同様の行為を許されるのだろうか。
相澤先生的にはどうなんだろう…。

んー、と私は唸った。

「どうされたんですか。」

探るような視線を向けられる。

「え、あっ。何か力になれることはないかと。昨夜のようなことが広まってしまったら、相澤先生だけでなく雄英側にも大打撃ですよ…。」

アハハと頭の中の邪な考えを誤魔化すように笑った。
相澤先生は、すみませんと呟く。

「あ。いや！相澤先生に対する心配が殆(ほとん)どですからね？！」

何を必死に私は弁解しているんだろう。
しかしながら、目の前の男は安心したように微笑んだ。

初めて見る表情だ。

「でしたら、その気持ちに少しだけ甘えても良いでしょうか。」

そう告げた相澤先生は、申し訳なさそうにこちらを見つめた。

「昨夜、Aさんとキスした後、サキュバスの効果が落ち着きました。なので、もしAさんが宜しければですが、その…。」

伝えようとしていることを何となく察した。

なんだ。私と同じようなこと考えてたんだ。

「相澤先生でも、照れる事ってあるんですね。」

「女性関係に疎(うと)いんですよ…」

またも手で顔を押さえた相澤先生は、小声でこう呟いた。

「Aさん、お願いします」

この時を境に、相澤先生と私の奇妙な関係が築かれ始めた。