相澤先生のワンナイト (ページ20)

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20話ページ20

「それじゃあ、また夕方頃に」

クルリと背を向けて、相澤先生は事務室から出ていった。

車で学校へ送られた今朝。
幸いにも、その光景を誰かに見られることなく事務室へ辿り着くことができた。

あとは、お揃いともとれるこの服装を誰にも勘づかれなければ、今日を平穏に終わらせられる。

通勤鞄を仕事机に置いて、私はフゥーと息をつきながら椅子に腰かけた。

そこへ、控えめにノック音が2回。

「邪魔するZEー、事務室ガール！」

意気揚々と入ってきたのはプレゼント・マイクこと山田先生。

その手には1枚の紙が握られていた。

「来週授業で使う施設の申請書だyo」

朝から相変わらずのテンションで、彼は意気揚々と紙を手渡す。

「ところでー…」

まじまじと私の全身を確かめていく。

「その服、イレイザーのだよな？」

見事にバレてしまった。
いや、逆になんでわかるんだ。

似てる服着てるなぁならまだしも、相澤先生の服だと確信を持つのは、親友の為せる技なのか。

冷や汗をダラダラと流しながら、私は上手くこの場を乗り切る方法を考えた。

誤魔化しがきくだろうか。
いや、きっと無理だろう。

同じ服を偶然買ってしまったというのはどうか。

悔しくも、そんな偶然はなかなか起こらない…。

困ったなぁと頭を働かせていると、目の前の山田先生は興味をなくしたようにこう言った。

「ま、いろいろあるんだろうなぁ。頑張れよ、事務室ガール！」

「へ？」

スタスタと事務室を出ていく山田先生。
気づけばその戸は閉められていて、私はまた事務室に1人。

ぽつんと申請書片手に、椅子へ体重を預けていた。