相澤先生のワンナイト (ページ18)

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18話ページ18

湯上りの脱衣場。

水気が中々無くならない髪をバスタオルで抑えながら、私は相澤先生が置いてくれた服を探していた。

「まさか、これ？」

ぽんと置いてある黒い服を見る。
ユニクロに置いてあるような黒のトップスに黒のスラックス。

こんな真っ黒じゃ、まるで相澤先生とお揃いじゃないか。

せめて白のワイシャツを借りたかった。

しかしながら、わがままばかり言っていられないのも事実だ。

諦め半分に、私はその服に着替えた。

「あ、いい匂いする」

スンスンと身につけた服の匂いを確かめた。

「…何やってんだ」

「え、うわ?!えっと、いい匂いがしたので」

彼はジトリと、訝(いぶか)しげにこちらを見る。
私は逃げるように、そそくさと脱衣場から離れた。

リビングまで行くと、机にはパックのゼリー飲料が置かれていた。

「すまん、朝飯それしか無かった」

脱衣場から相澤先生の声が聞こえる。

「大丈夫です！いただきます！」

脱衣場に向けて叫び返した私は、手前に置いてあるグレープフルーツ味を1つ貰う事にした。

「なんか雰囲気変わったなぁ…」

チューチューとゼリーを吸いながら、1人呟く。

以前まではビジネスライクな付き合いだったせいで、敬語もさん付けも必須だった相澤先生。

今朝からそれは、完全に無くなっていた。

距離が縮まったみたいで嬉しい。

私はホクホク顔で、相澤先生がお風呂から上がるのを待っていた。