相澤先生のワンナイト (ページ15)

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15夜ページ15

「管理人さんに伝え忘れました。俺の来客です。すみません。」

スタスタと相澤先生が向かって来る。

「行くぞ」

二の腕を雑に掴まれ、エレベーターへと乗せられた。

ウィーンとゆっくり扉が閉まる。
階数ボタンを押していないため、一切その箱は動かなかった。

「あの、相澤先生。何階ですか？」

そう聞くと、無言で相澤先生はボタンを押した。
エレベーターが動き出す。

無言のまま、徐々に数字が大きくなっていく階数パネルを眺める。

「えっ」

ズンと重いものが私によりかかった。

「すまん。」

重さの原因は相澤先生。
よくよくその顔を見ると風邪を引いたように真っ赤で、だけど生気がなくて、今にも倒れてしまいそうだった。

私は相澤先生の肩を担ぐ。

「とりあえず部屋、行きましょう」

「あ、あぁ」

目的のフロアへ到着し、エレベーターの扉が開いた。

私はよろよろとよろけながら、相澤先生の自宅へたどり着く。

鍵が指紋認証らしいその部屋は、相澤先生の親指で簡単に扉が開く。
広い玄関でとりあえず相澤先生を床に下ろした。

「悪かったな。…ばあさんから頼まれてきたんだろ」

「は、はい」

婆さんとは、リカバリーガールの事だろうか。
私は薬瓶を手渡した。

その瓶を彼はどこか遠い目で眺める。