隣人の鷹見さん (ページ3)

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３羽目ページ3

一夜開けた。
今日は日曜日だ。

朝から用事がある私は、履きなれたスニーカーで外へ出る。

今日は久しぶりにランニングをしようと思ったのだ。

運動不足により脂肪がついてきた体型を改善したい。

カチャリと自宅を施錠(せじょう)すると、隣からガチャと扉が開く音が。

「あ。」

驚いた顔の鷹見さんが、自宅から半分体を出した状態で固まった。

よくよく見ると背中には、赤い羽根でできた大きな翼が生えている。

空が飛べる個性なんだろうか。
私とは違い、とてもファンシーで羨ましい。

…いや、彼にあんな羽あっただろうか。
鷹見さんに対する謎要素が加算された。

「おはよう、ございます」

以前、飄々としていた彼には似つかわしくない程の固い表情。

そんな顔で朝の挨拶をされた私は、どう返すべきか考えた。

この態度、もしや昨日覗いていたのがバレていたのだろうか。

いや、でも彼とは目が合っていないはずだ。

どうするべきか悩んだ後、友好な隣人関係構築の為、私は素直に謝る選択をした。

「鷹見さん、あの、昨日はすみませんでした。うっかり覗いてしまって。ただ、非常階段であのような事をするのは、少し…」

「えっ？」

拍子抜けしたような顔の彼は、少し思案した後、にやりと口角をあげた。

「覗いてたんですか…。えっち。」

色っぽく笑う彼にからかわれる私。

「いや、でも、あそこであのような事は…！」

「私もって、期待しちゃうからやめて欲しい？」

獲物を見つけた肉食獣のように、じわりじわりと距離を詰められる。

「なーんてね、冗談です。もうしません」

ハハハと笑い飛ばす彼は、鳥ジョークだなんだと言って、その場を飛び去って行った。

ヘナヘナと私は腰が抜けて、地面にぺたりと座り込む。

鷹見さんはやっぱりチャラい。

そのチャラさに圧倒された自分自身にイライラしながら、私はスクッと立ち上がった。

イライラは走って発散しよう。
私は非常階段をかけ降りていった。